相続税申告の期限は10か月!知っておくべき注意点と対処法

相続税の申告期限は、相続を受けた方にとって非常に重要なポイントです。期限内に正確に申告を行わなければ、延滞税や無申告加算税が課されることがあります。本記事では、相続税申告の期限を守るための基本知識から、未分割申告や専門家の活用方法までを分かりやすく解説します。特に、期限を過ぎた場合のリスクや解決策についても触れているので、ぜひ最後までお読みください。

相続税申告の期限とは?

相続税申告が必要なケースとは

相続税申告が必要になるのは、相続財産の合計額が一定の基準を超える場合です。この基準は「基礎控除額」と呼ばれ、以下の計算式で求められます。

基礎控除額 = 3000万円 + (法定相続人の数 × 600万円)

例えば、法定相続人が2人の場合、基礎控除額は4200万円です。この金額を超える相続財産がある場合、相続税申告が必要になります。

また、相続財産には現金や不動産だけでなく、生命保険金や退職金なども含まれるため、見落としがちです。財産の種類や評価方法についても確認しましょう。

申告期限の基本|「10か月」の理由と計算方法

相続税申告の期限は、被相続人(亡くなった方)が亡くなった日の翌日から数えて10か月以内とされています。例えば、2025年1月1日に被相続人が亡くなった場合、相続税申告の期限は2025年11月1日となります。この期限内に申告と納税を行う必要があります。

期限を過ぎた場合のリスク|追徴課税等

期限を過ぎてしまうと、追徴課税や延滞税が発生します。具体的には以下があります。

  • 無申告加算税:期限内に申告しなかった場合に課される税金(最大20%)
  • 延滞税:納税が遅れた期間に応じて加算される税金

さらに、税務署から調査が入る可能性も高まります。トラブルを避けるためにも、期限内の申告が大切です。

相続税申告の手続きの流れ

必要書類の準備|遺産目録の作成と評価方法

申告に必要な書類を揃えるには、まず遺産目録を作成しましょう。遺産目録とは、相続財産を一覧にまとめたものです。

主な必要書類は以下の通りです。

  • 戸籍謄本や住民票
  • 遺産分割協議書
  • 不動産登記事項証明書
  • 預貯金の通帳コピー

遺産目録を作成する際には、不動産や株式の評価額も計算する必要があります。評価額の計算には専門知識が必要な場合が多いため、税理士などに相談することをおすすめします。

税務署への申告方法|電子申告と窓口対応

相続税申告は、管轄の税務署に直接申告する方法と、電子申告を利用する方法があります。

  • 窓口対応:直接税務署に足を運び、必要書類を提出する方法です。手続きの途中で分からない点があれば、その場で質問できるメリットがあります。
  • 電子申告:国税庁のシステムを利用してオンラインで申告を行う方法です。手軽に申告できるため、遠方に住んでいる場合に便利です。

どちらの方法でも、書類の不備や誤りがないように注意が必要です。

期限内に手続きするためのスケジュール管理

申告手続きをスムーズに進めるには、事前にスケジュールを立てることが重要です。

  • 最初の1か月:財産目録の作成、相続人全員の連絡
  • 次の3か月:財産評価と遺産分割協議の開始
  • 残り6か月:必要書類の準備、専門家との相談、申告書の作成

特に、複数の相続人がいる場合は、早めに話し合いを始めることが大切です。

期限に遅れそうな場合は未分割申告を

相続税申告の期限に間に合わない場合、未分割の状態でも申告を行う「未分割申告」という方法があります。この方法では、分割が確定していない遺産について仮に申告を行い、納税を済ませることができます。

未分割申告を行う際のポイントは以下の通りです。

  • 仮申告のための書類準備:遺産目録や相続人の情報を正確に記載
  • 後日の修正申告:遺産分割が確定した段階で正しい情報に基づく修正申告を行う

未分割申告を利用すれば、期限を過ぎることによる加算税や延滞税を回避できます。ただし、修正申告が必要なため、専門家のサポートを受けることをおすすめします。

未分割申告により税額が軽減される特例を後で適用できる

相続税の申告期限に遅れると、相続税を軽減する特例が適用できないというデメリットがあります。

ただし、未分割申告で「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出しておけば、遺産分割後の修正申告または更正の請求で「配偶者の税額軽減」と「小規模宅地等の特例」を適用することができます。

延納や物納・災害その他やむを得ない事情による延納

延納や物納を申請する

相続税の納付期限までに相続税を納付することが難しい場合は、延納や物納を申請することができます。延納とは、相続税を分割して納める制度のことで、延納できる期間は遺産に占める不動産の割合によって異なりますが、最長で20年となります。延納には原則として担保を提供する必要があるほか、延納期間中は利息にあたる利子税がかかります。

延納をしてもなお納付が難しい場合は、相続した財産を換金しないでそのまま物として納める「物納」が認められることもあります。

延納については、「相続税延納とは?要件・手続きの徹底解説!」で詳しく解説していますのでご参照ください。

災害その他やむを得ない事情による延長

例外的に相続税の申告期限を延長できるのは、「災害その他やむを得ない理由」がある場合のみです。災害などやむを得ない事情がある場合や、相続人に胎児がいる場合などです。そのような場合に、相続税の申告期限の延長が、最大2ヶ月認められます。

また、相続税の申告期限を延長するには、「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を税務署に提出して申請します。

この申請は本来の申告期限を過ぎてからでもよく、手続きができるようになった時点で申請することができます。

専門家の役割

税理士の役割|複雑な計算や申告作業を全面サポート

相続税の計算や申告作業は、一般の方にとって非常に複雑で、専門的な知識が求められます。税理士は、これらの作業を専門的にサポートし、適切な方法で進めるためのアドバイスを提供します。特に、相続財産の評価や控除額の計算など、税務面での重要な手続きについては、税理士の知識が不可欠です。

また、相続税対策の提案を行うことで、相続税の負担を軽減する手助けをしてくれます。さらに、税務署とのやり取りも代行してくれるため、手続きの煩雑さを軽減できるというメリットもあります。大きな財産を相続する場合や複数の相続人がいる場合には、税理士への依頼が特に有効です。

日本相続知財センター札幌の役割|地域に根ざした安心感のある相談窓口

日本相続知財センター札幌は、相続に特化した専門機関として地域のニーズに応える役割を担っています。このセンターには、相続分野で経験豊富な税理士がグループに所属しており、申告業務だけでなく、財産分割や相続全般の問題解決に対応しています。

また、地元に密着したサービスを提供しているため、地域の事情やニーズを踏まえた的確なアドバイスが期待できます。特に、初めて相続手続きを行う方にとって、初回相談が無料で、安心感のあるサポート体制が魅力です。さらに、複雑なケースやトラブルが生じた場合でも、専門家による一貫した対応が可能で、スムーズに手続きを進めることができます。

よくある質問(Q&A)

  • 相続税申告の期限を過ぎてしまった場合でも、諦める必要はありません。まずは速やかに税務署に相談し、現状を報告しましょう。期限を過ぎた場合、延滞税や加算税が課される可能性がありますが、やむを得ない事情がある場合は、減免措置を受けられることもあります。例えば、申告が遅れた理由が自然災害ややむを得ない事情などの場合、適切な証明書類を添付することで、ペナルティを軽減できるケースがあります。また、税理士に依頼することで、適切な対応方法や書類作成をスムーズに進めることが可能です。

  • 相続税申告の期限延長を希望する場合、税務署に「災害による申告、納付等の期限延⻑申請書」を提出する必要があります。この申請書には、期限延長が必要な理由を具体的に記載することが求められます。申請書には必要書類を添付する必要があります。

  • 相続手続きに必要な書類を効率よく準備するには、まず相続財産の内容を明確に把握することが大切です。財産目録を作成し、何がどこにあるかを一覧化すると、準備がスムーズになります。具体的な必要書類としては、戸籍謄本や住民票、不動産登記事項証明書、金融機関の残高証明書などが挙げられます。また、相続財産に株式や投資信託などが含まれる場合は、それらに関する評価書も必要になることがあります。税理士等専門家に相談し、チェックリストを活用することで漏れなく準備できます。

  • 相続税の申告が不要であっても、期限を意識することは重要です。たとえば、基礎控除額を超えない場合でも、後々のトラブルを防ぐために、財産目録を作成し、相続財産の内容を明確にしておくことが推奨されます。これにより、他の相続人や関係者との間で不必要な争いを回避できる可能性が高まります。また、申告不要のケースでも、不動産の名義変更など、法的な手続きが必要な場合があります。これらを早期に対応することで、トラブルや負担を軽減することができます。

  • 専門家に依頼することで、相続税申告を正確かつ効率的に行うことができます。例えば、専門家は税務知識を活用して適切な控除を見逃さず、相続税の負担を最小限に抑えるサポートを提供します。また、財産評価や申告書の作成においても、専門家の知識と経験が大きな力となります。さらに、相続に関するトラブルや不明点が生じた場合でも、専門家が代わりに対応してくれるため、安心して手続きを進めることができます。節税対策や分割案の提案など、依頼することで得られる付加価値も大きな魅力です。

この記事の監修者

税理士法人 中野会計事務所  税理士 湯山 啓太

税理士法人 中野会計事務所
税理士 湯山 啓太

大学卒業後、複数の会計事務所において法人税業務に加え、個人および法人の相続・贈与・事業承継などの資産税業務の担当として勤務したのち、2019年10月より税理士法人中野会計事務所に所属。千葉県税理士会 所属、登録番号118096。相続税申告を数多く手掛け、個人から法人まで税務についての幅広いサービスを提供している。

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