共有名義の不動産相続とは?相続登記の方法やトラブルを防ぐ方法を解説!
相続で共有名義の不動産を受け継いだ場合、多くの方が「名義変更ってどうすればいいの?」と悩みます。名義変更は、今後のトラブルを防ぐためにも非常に重要な手続きです。このブログでは、初心者の方にも分かりやすく、共有名義不動産の相続や名義変更の方法を詳しく解説します。また、専門家に頼るべき場面やよくある疑問にもお答えします。ぜひ最後までご覧ください。
共有名義の不動産の相続とは
共有名義の基本と相続の関係
共有名義とは、一つの不動産を複数人で所有している状態を指します。例えば、父と母の共有名義の不動産があり、父が亡くなったとします。その場合に父の共有持分を相続する場合も相続登記が必要です。この場合、父の共有持分を母が単独で相続したり、母と子で共有名義にて相続登記することが考えられます。
名義変更が必要な理由とは?
名義変更を行わないまま放置すると、次のような深刻な問題が生じる可能性があります。
- 不動産の売却や貸し出しが困難に:名義が複数人で共有されていると、所有者全員の同意が必要となり、手続きが煩雑になります。
- 相続人間でのトラブル:時間が経つにつれて相続人の人数が増え、話し合いや意思決定が複雑化します。
- 追加費用の発生:手続きを先延ばしにすることで、税金や手数料が増える場合があります。
- 次世代への影響:名義変更を行わないまま相続人が亡くなると、さらに多くの相続人が関わることになり、トラブルの元となります。
相続放棄や代償分割などの選択肢
相続では、共有名義にしないための選択肢もあります。
- 相続放棄:特定の相続人が権利を放棄することで、共有を避けられます。
- 代償分割:一人が不動産を受け継ぎ、他の相続人に現金や他の資産で補償します。
- 売却して分配:不動産を売却し、その代金を相続人で分ける方法です。
自分たちの状況に合った選択肢を検討しましょう。
共有名義不動産の名義変更手続き
名義変更の流れと必要な書類
名義変更の流れは以下の通りです。
- 遺産分割協議書の作成:相続人全員で話し合い、誰がどの財産を相続するか決定します。
- 必要書類の準備:戸籍謄本、固定資産評価証明書、登記簿謄本などを揃えます。
- 登記申請:法務局に申請し、名義変更を行います。
書類が不足すると手続きが進まないため、事前にチェックリストを作成するのがおすすめです。
登記手続きにおける注意点
不動産の名義変更において、登記手続きは非常に重要なステップです。ここでは、注意すべきポイントを詳しく解説します。
- 期限に関する注意
名義変更には法律上の期限が設定されていないものの、手続きを早めに進めることが推奨されます。特に、相続人が高齢であったり、遠方に住んでいたりする場合は、手続きが長引くリスクが高まります。また、2024年4月1日以降、相続登記が義務化され、3年以内に登記を行わない場合には過料が課される可能性があるため、早めの対応が求められます。 - 登記費用の確認
名義変更の際には、以下の費用が発生します:- 登録免許税:固定資産評価額の0.4%
- 司法書士への依頼費用:相場は5万~10万円程度(依頼内容により異なる)
- 証明書発行手数料:戸籍謄本や登記簿謄本の取得費用など
- 事前にこれらの費用を見積もり、予算を確保することが重要です。
- 書類の不備に注意
登記申請書や遺産分割協議書に誤字や不備があると、手続きが滞る可能性があります。特に、署名・押印の漏れや記載内容の不一致には注意しましょう。不安がある場合は、専門家に確認を依頼することをおすすめします。
名義変更にかかる費用と税金の概要
不動産の名義変更に伴う費用と税金の詳細を理解することは、計画的な手続きを進める上で欠かせません。
- 登録免許税
登録免許税は、名義変更時に必ず発生する税金で、不動産の固定資産評価額に基づき計算されます。
例:評価額が1,000万円の不動産の場合、登録免許税は4万円です。 - 司法書士への報酬
自分で手続きを行う場合はこの費用は不要ですが、司法書士に依頼すると報酬が発生します。報酬額は依頼内容や地域によって異なりますが、概ね5万円~10万円程度です。 - 相続税
相続税は、相続した財産全体の価値が一定の基準を超える場合に課税されます。不動産の評価額が高い場合や他に多くの資産がある場合は、税理士に相談し適切な税額を把握しましょう。 - 固定資産税
名義変更後、翌年度からは新しい名義人に固定資産税の納税義務が発生します。これも事前に確認しておくべき重要なポイントです。
自分で手続きする場合と専門家に依頼する場合の比較
名義変更手続きは、自分で行うことも、専門家に依頼することも可能です。それぞれの特徴を比較してみましょう。
- 自分で手続きする場合
メリット:費用を大幅に抑えられる
デメリット:手続きに必要な知識を習得する時間がかかる。不備があった場合、手続きが遅れるリスクがある。 - 専門家に依頼する場合
メリット:手続きがスムーズに進み、不備のリスクを回避できる。時間や労力を節約できる。
デメリット:司法書士や税理士への報酬が必要。
時間を確保し、手続きを慎重に進められる場合は自分での対応も可能ですが、複雑なケースやトラブルを避けたい場合は、専門家に依頼するのが安心です。相談時には見積もりを取得し、費用対効果を検討しましょう。
共有不動産の相続トラブルを防ぐための事前対策
共有名義人が死亡し、その配偶者やお子さんが共有持分を取得すると、共有名義人が増えることになり権利関係が複雑化してしまい、相続トラブルが生じることがあります。
また、共有名義の不動産をさらに共有で相続することは避けるべきです。共有不動産を売却するときに共有名義人全員の同意、あるいは第三者に賃貸するときは過半数の同意が必要になります。同意が得られなければ、売却や不動産の活用が難しくなります。
相続の事前対策として、なるべく単独名義になるように対策しておくことが必要と言えます。
遺言書を作成する
遺言書を作成して、共有名義人にご自身の持分を単独で相続させることが一つの対策です。たとえば夫婦で不動産を共有していた場合は、不動産の持分を「配偶者に相続させる」という内容の遺言書をお互いに作成することです。どちらかが亡くなった場合に不動産の共有が解消されて、一方が単独所有することができます。
遺言書については、「遺言書の種類別に見るメリットとデメリット。最適な遺言書を選ぼう!」、公正証書遺言については「公正証書遺言とは?メリット・作成手順を解説」でわかりやすく説明していますので、ご参照ください。
共有持分をあらかじめ生前贈与する
共有名義人にご自身の持分を生前贈与します。
たとえば、夫婦で共有していた不動産のご自身の持分を無償で片方の配偶者名義に変更した場合は、通常贈与税が課税されます。ただし、婚姻期間が20年以上の夫婦でご自宅の贈与があった場合には、一定の要件にあてはまれば、贈与税の配偶者控除(おしどり贈与)を適用することができますので、2,000万円まで非課税になります。
親子間での共有不動産、例えば、父と長男の共有名義不動産の場合は、父の持分をあらかじめ長男へ生前贈与することで長男の単独名義にすることも可能です。この場合、相続時精算課税制度を利用すれば、贈与時の贈与税が対象不動産共有持ち分が2500万円以内の相続税評価であれば、贈与税がかからず贈与することが可能です。
相続時精算課税制度については、「相続時精算課税制度とは?賢く利用して適切な税対策をしよう」で詳しく説明していますのでご参照ください。
専門家の役割と選び方
司法書士の役割とサポート内容
司法書士は、共有不動産の名義変更手続きにおいて最も頼りになる専門家の一人です。具体的には、以下のサポートをします。
- 登記申請の代行:名義変更に必要な書類を作成し、法務局への申請を行います。
- 書類の確認と補正:不備がある書類を事前にチェックし、修正を提案します。
- 法的アドバイス:相続登記の法的基準について説明し、トラブルを未然に防ぎます。
司法書士は登記の専門家であり、複雑な手続きに慣れているため、効率的かつ正確に名義変更を進めることが可能です。
税理士の役割
税理士は主に税金面でのサポートを提供します。不動産の名義変更に関連して、以下の役割を果たします。
- 相続税の計算と申告:共有不動産の相続に関わる税金の計算を正確に行います。
- 相続税対策の提案:相続税を抑えるためのアドバイスを提供します。
- 税務署への申告代行:必要な書類を作成し、税務署への申告を代行します。
特に不動産の評価額が高い場合、税理士のアドバイスを受けることで節税につながる可能性があります。
弁護士の役割
弁護士は、相続人間のトラブルや法的な問題に対応します。具体的には、
- 遺産分割協議の調整:相続人間で意見が合わない場合、交渉や調整を行います。
- 訴訟対応:相続トラブルが裁判に発展した場合、代理人としてサポートします。
- 法的リスクの回避:トラブルを未然に防ぐための法的助言を提供します。
相続人間で対立がある場合や、法的に複雑なケースでは弁護士の助けが必要です。
日本相続知財センター札幌の役割
日本相続知財センター札幌は、相続手続き全般の支援を行う専門機関です。主な役割は以下の通りです。
- 相続手続きのコンサルティング:相続に関する全体像を把握し、必要な手続きのプランを提供します。また、共有不動産の相続トラブルを事前に防ぐため、事前対策のアドバイスも可能です。
- 専門家との連携:司法書士、税理士、弁護士と連携し、手続きをワンストップでサポートします。
- トラブル対応:複雑なケースにおいて、各専門家と連携し解決策を提案します。
日本相続知財センター札幌では、初回無料相談ですので、安心して相談することが可能です。
よくある質問(Q&A)
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名義変更に法律上の明確な期限はありませんが、早めに行うことを強くおすすめします。放置すると、次のようなリスクがあります。
・共有者が増える:相続人が亡くなると、新たな相続人が加わり、話し合いが複雑化します。
・追加費用が発生:税金や手続き費用が増加する可能性があります。
・不動産の利用制限:売却や賃貸が困難になる場合があります。 -
名義変更をしない場合、法的・実務的に次の問題が発生する可能性があります。
・第三者への売却が困難:共有者全員の同意が必要になるため、売却がスムーズに進みません。
・過料を課される可能性がある:3年以内に相続登記をしないと、過料を課される可能性があります。
・相続トラブルの増加:次世代の相続時に手続きがさらに複雑化します。 -
名必要書類が揃わない場合、以下の方法を検討してください。
・役所で再発行を依頼:戸籍謄本や住民票などは役所で再発行が可能です。
・専門家に相談:書類の確認や代替案の提案を受けることができます。
・家庭裁判所に申し立て:特定の相続人の協力が得られない場合、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることができます。 -
名義変更自体には登録免許税がかかります。また、場合によっては以下の税金も関係します。
・相続税:不動産の評価額に応じて発生します。
・固定資産税:名義変更後、翌年度からの納税義務が発生します。 -
遠方に住む共有者がいる場合でも、手続きは可能です。具体的な方法は以下の通りです。
・郵送でのやり取り:必要書類を郵送して署名・押印を依頼します。
・日本相続知財センター札幌に依頼する:共有者が日本相続知財センター札幌に事務手続きを依頼して手続きを進めることができます。
・オンライン相談:最近ではオンラインでの相続相談や手続きサポートも増えています。
この記事の監修者

一般社団法人 日本相続知財センター札幌
常務理事 成田 幹
2012年行政書士登録。2014年日本相続知財センター札幌 常務理事に就任。遺言・任意後見・家族信託などのカウンセリングと提案には実績と定評がある。また、法人経営者の相続・事業承継支援の経験も豊富で、家族関係に配慮した提案が好評。