LINE連載 「虎震(トラブル)家の悩める人々~生前対策・花子編」アーカイブ(#1〜#4)
公式LINEで連載配信している「虎震(トラブル)家の悩める人々~生前対策・花子編」のアーカイブページです。
各エピソードの概要と共に、相続に関するトラブルやその解決策を学ぶことができます。気になるエピソードをチェックし、ぜひLINEでの連載配信にもご登録ください!
目次
虎震(トラブル)家の悩める人々~生前対策・花子編①

「もしものことを考えたことはありますか?」
──その言葉が、花子の胸に深く突き刺さっていました。
花子は10年前、離婚歴のある雄介と結婚しました。
当時55歳だった雄介は、前妻との間に2人の子供がいます。
現在も関係は良好で、彼らは定期的に顔を出しますが、花子との間には子供はありません。
雄介の名義で自宅や賃貸マンションなどの資産があるものの、万が一雄介に何かあった場合、自分はどうなるのか…その不安が、日々花子の心を重くしていました。
ある日、花子は兄・二郎と久しぶりに電話で話をしました。
二郎が自身の生前対策について相談していることを聞いた花子は、思い切って自分の悩みを打ち明けました。
「私、雄介さんにもしものことがあったらどうなるんだろうって、ずっと心配してるの。前妻とのお子さんもいるし、遺産のことなんて話題にするのが怖くて…」
花子の声は震えていました。
二郎は花子に優しく語りかけました。
「その気持ち、よくわかるよ。僕も同じように不安を抱えてたけど、郷行政書士に相談して、解決できる方法を見つけた。花子も一度相談してみたら?」
数日後、花子は郷行政書士事務所を訪れました。
穏やかで安心感のある郷の笑顔に少し緊張が和らぎます。
事情を話し終えると、郷は真剣な表情でうなずきました。
「花子さん、まずご安心ください。雄介さんとしっかり話を進めれば、花子さんが安心して暮らせるような仕組みを作ることが可能です!ただ、お話しするタイミングや進め方が重要ですね。」
「タイミングと進め方って…?」
花子は郷の顔を不安そうに見つめました。
虎震(トラブル)家の悩める人々~生前対策・花子編②

前回、花子は郷行政書士に、離婚歴のある夫・雄介の件で相談に行きました。
郷は、次のように説明を続けました。
「まず、前提として、雄介さんが亡くなると、前妻のお子さんたちも法定相続人です。事前対策をしないと、お子さんたちと花子さんで話し合いをしないとご自宅や賃貸マンションなどの相続財産の相続手続きを進めることができません。
こういうケースって、実は生殺与奪の権利を握っているのは、お子さんたちだったりするんです…。」
「やはりそうなんですね。。。」
花子は不安そうに答えます。
「はい、お子さんたちとの間で、「遺産分割協議」という遺産分けの話し合いが必要となり、話し合いがまとまれば、「遺産分割協議書」という書類を作成する必要があります。
ただ、話し合いがまとまらなかったり、そもそも話し合いをしてくれない、無視される、というケースも過去ありました。だから、事前対策しないことのリスクはとても高いといえるでしょう。」
郷はさらに続けます。
「そこで、雄介さんがやるべきことは、遺言書を作成することなんですよ。遺言書で遺産の分け方を指定しておけば、話し合いをせずにその通りに遺産を分けることができます。花子さんにすべての財産を渡すことも可能ですよ。」
「なるほど!遺言書ですね。でも夫はそういうのに全然興味ないし、『オレが死んだ後のことは知らん』などと言いそうで。。。」
花子は不安げです。
郷は穏やかに言葉を添えました。
「それも自然なことです。でも、お二人の将来を守るための重要な話です。雄介さんも、花子さんが不安を抱えていることに気づけば、きっと話し合いに前向きになってくれるでしょう。もし難しい場合は、私が間に入ってお話を進めることもできますよ!」
「わかりました。夫に話してみます。そして、郷先生のところに連れてきます。」
花子は力強く答えました。
郷は微笑みながらうなずきました。
「いつでもお待ちしています。花子さんの大切な未来のために、全力でお手伝いしますよ!」
虎震(トラブル)家の悩める人々~生前対策・花子編③

夫の雄介を連れて再び郷行政書士の事務所を訪れた花子。
緊張した面持ちの花子とは対照的に、雄介はどこか肩の力が抜けた様子で事務所に足を踏み入れた。
「こんにちは。お二人でお越しいただきありがとうございます。」
郷がにこやかに迎え入れると、雄介は少し照れた様子で頭を下げた。
「いやぁ、こういうところは初めてなので、何を話していいのかよくわからなくて…。」
「それで大丈夫ですよ。今日はまず、現状やお考えを伺いながら、一緒に進める方法を探していきましょう!」
郷の落ち着いた口調に、雄介も徐々に緊張がほぐれていくようだった。
話が進む中、郷は雄介に率直な質問を投げかけた。
「雄介さん、ご自身が亡くなった後、相続についてどのようにお考えですか?」
一瞬考え込んだ雄介は、ゆっくりと口を開いた。
「正直に言うと、前妻の子供たちとは良好な関係を築けているから、彼らにもきちんと相続の権利があることは理解しているんです。
でも、花子との間に子供がいない分、花子に十分な財産が残るのかも心配で…。」
花子は驚いた表情で雄介を見つめた。
雄介が自分の気持ちをここまで正直に語るのを聞いたのは初めてだった。
郷はうなずきながら続けた。
「雄介さんのお気持ち、よくわかります。そのバランスをとることこそ、遺言書や事前対策の大切なポイントなんです!何も対策をしないと、結果的に花子さんが不安を抱えたり、前妻のお子さんたちとの間でトラブルが生じる可能性もあります。」
雄介は少し考え込んだあと、意を決したように言った。
「わかりました。遺言書、作りましょう!でも、どこから始めたらいいのかもわからないので、その辺も教えてもらえますか?」
「もちろんです!」
郷は笑みを浮かべながら資料を取り出し、二人に説明をし始めました。
虎震(トラブル)家の悩める人々~生前対策・花子編④

郷行政書士の事務所での打ち合わせが続いていた。
郷が落ち着いた口調で質問を続ける。
「では、具体的に相続の対象となる財産について、整理を進めましょう。雄介さん、現在把握している範囲で教えていただけますか?」
雄介は一瞬言葉を詰まらせた後、重い空気を破るように口を開いた。
「実は…まだ言っていないことがあります。」
その言葉に、花子は驚きの表情で雄介を見つめた。
「実は、前の結婚より以前、一度結婚していて、もう一人子どもがいます。その子のことを、これまで話せていませんでした。」
花子の目に驚きと困惑が浮かぶ。
しばらくの沈黙の後、彼女は震える声で問いかけた。
「どうして今まで言ってくれなかったの…?」
雄介は深くうなだれ、しばらくの間言葉を探していた。
「タイミングを逃してしまったんだ。君にどう伝えればいいのかわからなくて…。それに、僕が話すことで君を傷つけてしまうんじゃないかと思って、怖かった。」
花子は困惑と涙で言葉が出ず、郷も突然の出来事になすすべもなく、打合せは中断… この夫婦の行方はどうなる?!
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