相続税延納とは?要件・手続きの徹底解説!

相続税の支払いに不安を抱えている方へ。延納という制度をご存じでしょうか?相続税の負担が大きい場合でも、一定の条件を満たせば分割払いが可能になります。この制度を正しく理解して活用することで、相続税の負担を軽減できます。本記事では、延納の基本情報から手続き、具体例、専門家の役割、さらによくある質問までを分かりやすく解説します。

相続税延納の基礎知識

延納とは?相続税の分割払い制度

延納とは、相続税を一括で納めることが難しい場合に、分割で納めることを認める制度です。この制度を利用することで、現金をすぐに用意できない人でも相続税を支払うことが可能になります。

例えば、相続した財産が不動産中心で現金が少ない場合、一括納付が困難です。このようなケースでは、延納が有効な選択肢となります。ただし、延納には厳しい条件があります。延納が許可されるまでの流れや注意点を詳しく解説します。

延納が適用される要件とは

相続税の延納は税務署に申請をしますが、申請を認めてもらうには次の四つの要件を満たしている必要があります。

①相続税の金額が10万円を超えること
②金銭納付が困難な金額の範囲内であること 
③申告期限までに延納申請書・担保提供関係書類・金銭納付を困難とする理由書を提出すること 
④延納税額に相当する担保を提供すること

これらの条件を満たすためには、計画的な準備が必要です。また、理由書の作成や担保の手配については、の支援を受けることが推奨されます。

延納のメリットとデメリット 

①メリット

  • 大きな金額を分割で納付できるため、資産をすぐに売却する必要がない
  • 財産を保持しつつ、納税計画を柔軟に立てられる

②デメリット

  • 延納税率に応じた利息が発生するため、総額では一括納付より高額になる場合がある
  • 担保を提供するために手続きが複雑になる

延納を利用する前に、これらの利点と欠点をしっかり把握し、長期的な視点で選択肢を検討することが大切です。

相続税延納の手続きと流れ

延納申請の期限と必要書類 

延納申請は、相続税の申告期限である相続開始から10か月以内に行わなければなりません。申請に必要な書類は以下の通りです。

  • 延納申請書
  • 納付計画書
  • 担保提供に関する書類(不動産の場合は登記事項証明書など)
  • 金銭納付が困難である理由書

これらの書類を正確に準備し、期限内に提出することが重要です。提出が遅れると申請自体が無効になる可能性があります。申請書の作成や必要書類の準備には、専門家のアドバイスを受けるとスムーズです。

担保の種類について

延納の担保として提供できる財産の種類は、次に掲げるものに限られます。

なお、相続または遺贈により取得した財産に限らず、相続人の固有の財産や共同相続人または第三者が所有している財産であっても担保として提供することができます。

(1) 国債および地方債
(2) 社債その他の有価証券で税務署長が確実と認めるもの
(3) 土地
(4) 建物、立木、登記される船舶などで、保険に附したもの
(5) 鉄道財団、工場財団など
(6) 税務署長が確実と認める保証人の保証

ただし、税務署長が延納の許可をする場合において、延納申請者の提供する担保が適当でないと認めるときには、その変更を求めることとなります。

不動産や金融資産が関わる場合の注意点

延納には不動産や金融資産を担保とするケースが多くあります。不動産を担保にする場合は、その評価額が延納税額を十分にカバーできることを証明する必要があります。また、抵当権の設定や評価額の再確認など、手続きが多岐にわたるため注意が必要です。

金融資産を担保とする場合は、その資産価値が担保要件を満たしていることを証明する必要があります。特に、有価証券を担保とする場合は、価格変動のリスクも考慮する必要があります。

利子税とは?延納時に注意すべき点

延納を利用する場合でも、分割期間中には利子税が発生します。延納した相続税額を毎回支払う毎に、一定の利子税を支払うことになります。利子税の具体的な割合は相続した財産の内容により異なります。

延納期間の設定

不動産割合に応じた年数 延納期間は、相続した財産の内容によって異なります。不動産の割合に応じて、以下のように設定されています。

  • 不動産などの割合が75%以上の場合
    ・動産等に係る延納相続税額:10年
    ・不動産等に係る延納相続税額:20年

  • 不動産などの割合が50%以上75%未満の場合
    ・動産等に係る延納相続税額:10年
    ・不動産等に係る延納相続税額:15年

  • 不動産などの割合が50%未満の場合
    ・一般の延納相続税額:5年

専門家の役割

税理士の役割:延納手続きのサポート内容 

税理士は、延納に必要な書類作成や財産評価をサポートします。また、納税計画の作成や延滞税負担のシミュレーションを通じて、最適な納税方法を提案します。税務署とのやり取りや複雑な手続きも代行してくれるため、手続きがスムーズに進みます。

日本相続知財センター札幌の役割

日本相続知財センター札幌では、相続全般のサポートを行っています。グループに所属している相続専門税理士と連携の上、延納手続きだけでなく、財産管理や申告サポートも提供しています。初回相談は無料で、初心者でも安心して相談できます。特に複雑なケースでも、経験豊富な専門家が適切なアドバイスを行います。

よくある質問(Q&A)

  • 延納の申請期限を過ぎると、その後に延納を申請することは基本的にできません。この場合、延納を諦め、一括で納税を行う必要があります。しかし、資金不足の場合は税理士に相談し、納税に必要な資金を確保する計画を立てることが重要です。例えば、保有している不動産の一部を売却する、もしくは金融機関からの融資を検討するなど、代替案を模索する必要があります。早期に専門家へ相談することで、最適な解決策を見つけやすくなります。

  • 延納の担保として提供できる財産の種類は、次に掲げるものに限られます。
    なお、相続または遺贈により取得した財産に限らず、相続人の固有の財産や共同相続人または第三者が所有している財産であっても担保として提供することができます。

    (1) 国債および地方債
    (2) 社債その他の有価証券で税務署長が確実と認めるもの
    (3) 土地
    (4) 建物、立木、登記される船舶などで、保険に附したもの
    (5) 鉄道財団、工場財団など
    (6) 税務署長が確実と認める保証人の保証

  • 延納を利用する場合でも、分割期間中には利子税が発生します。延納した相続税額を毎回支払う毎に、一定の利子税を支払うことになります。利子税の具体的な割合は相続した財産の内容により異なります。

  • 税理士に延納手続きを依頼する場合の費用は、依頼する内容や資産の複雑さによって異なります。一般的には十数万円~程度が相場ですが、大規模な相続の場合はそれ以上になることもあります。費用には、延納申請書の作成、担保提供のサポート、税務署との交渉代行などが含まれます。事前に見積もりを依頼し、どのサービスが含まれているかを確認すると良いでしょう。

  • 延納が認められない場合、資産売却や融資の利用が主な代替案となります。不動産や有価証券を売却して納税資金を確保する、もしくは金融機関からの借り入れを活用するなどの方法が考えられます。また、税理士などの専門家に相談することで、複数の選択肢を提示してもらい、自分に最適な方法を見つけることができます。特に、売却が難しい資産を抱えている場合は、専門家の力を借りることでスムーズな解決が期待できます。

この記事の監修者

税理士法人 中野会計事務所  税理士 湯山 啓太

税理士法人 中野会計事務所
税理士 湯山 啓太

大学卒業後、複数の会計事務所において法人税業務に加え、個人および法人の相続・贈与・事業承継などの資産税業務の担当として勤務したのち、2019年10月より税理士法人中野会計事務所に所属。千葉県税理士会 所属、登録番号118096。相続税申告を数多く手掛け、個人から法人まで税務についての幅広いサービスを提供している。

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