自筆証書遺言の検認手続き徹底ガイド

自筆証書遺言を作成する際や、相続の際にその遺言書を発見した場合、必ず知っておきたいのが「検認手続き」です。このガイドでは、遺言書の検認手続きについて、初心者にもわかりやすく解説します。遺言書の効力を確実にし、相続トラブルを防ぐための重要な情報を提供します。

遺言書の検認とは?

検認手続きの目的と重要性

検認手続きは、家庭裁判所が遺言書の存在や内容を公式に確認し、その状態を記録するための手続きです。この手続きにより、遺言書が改ざんされていないことが証明されます。

例えば、遺言書が見つかったが、相続人同士でその内容に疑問がある場合、検認手続きを行うことでその信憑性を確認できます。これにより、後々の相続トラブルを未然に防ぐことができます。

検認が必要な遺言書の種類

検認が必要なのは、自筆証書遺言と秘密証書遺言です。自筆証書遺言とは、遺言者が自分で全文を書いた遺言書です。例えば、家族に対して自分の財産をどのように分けたいかを手書きで記したものです。

秘密証書遺言は、内容を秘密にしたまま公証役場で証明を受けた遺言書です。

一方、公証役場で公証人が作成した公正証書遺言は、すでに公式に認証されているため、検認は不要です。

検認手続きの流れ

検認手続きは以下のように進められます:

  1. 家庭裁判所に検認の申し立てを行います。まずは申立書を記入し、必要な書類を添付して提出します。
  2. 申立書や必要書類を提出します。必要書類には遺言書、遺言者の死亡を証明する書類(死亡届や戸籍謄本)、相続人全員の戸籍謄本などがあります。
  3. 裁判所から検認の期日が通知されます。期日は通常、申し立てから1〜2ヶ月後に設定されます。
  4. 検認期日に出席し、遺言書の確認が行われます。裁判官が遺言書の内容を確認し、改ざんされていないかをチェックします。
  5. 検認済証明書を取得します。この証明書は、遺言書が検認されたことを証明するもので、不動産の名義変更や銀行口座の名義変更に必要です。

検認にかかる期間と費用

検認手続きにかかる期間は約1~2ヶ月程度です。申立てから期日までの間に必要書類を準備し、家庭裁判所に提出します。例えば、遺言者の死亡届や相続人全員の戸籍謄本を揃える必要があります。費用は申請手数料として数百円から数千円程度です。

具体的には、検認申立書の手数料が800円、戸籍謄本の取得費用が450円前後です。また、家庭裁判所によってはその他の手数料がかかる場合もあります。

自筆証書遺言の作成と保管方法

自筆証書遺言の基本要件

自筆証書遺言は、遺言者が自分で全てを書きます。遺言書の内容、日付、署名が全て自筆である必要があります。また、印鑑を押すことも忘れてはいけません。例えば、「私は全財産を長男に相続させる」といった内容を、自分の手で書き、署名し、印鑑を押します。これらの要件を満たしていない場合、遺言書は無効となります。

遺言書の作成方法

遺言書を作成する際は、以下のポイントに注意しましょう

  • 全文を自筆で書く:パソコンや他人の代筆は認められません。例えば、遺産の分配について具体的に書く場合、「東京都渋谷区の不動産を長女に相続させる」といった具合に書きます。
  • 日付を明確に記入する:「○月吉日」といった曖昧な日付は無効です。正確な日付を記入します。例えば、「2023年6月15日」と記載します。
  • 署名と押印を行う:署名は自筆で行い、印鑑を押します。認印でも良いですが、実印の方が安心です。

遺言書の保管方法と注意点

遺言書は、自宅で保管する方法と法務局で保管する方法があります。自宅で保管する場合、見つけやすい場所に保管し、相続人にその場所を伝えておくことが重要です。例えば、遺言書を金庫や引き出しに保管し、信頼できる家族にその場所を知らせます。

遺言書の検認を避ける方法

法務局の「遺言書保管制度」を利用することで、検認手続きを避けることができます。この制度を利用すると、法務局が遺言書を公式に保管し、検認が不要になります。例えば、自筆証書遺言を作成後、法務局に保管申請を行うと、遺言書が改ざんされるリスクを大幅に減らせます。保管手数料は3900円程度ですが、安心感と信頼性を考えると非常に有効です。

検認手続きの実際

検認申立の準備と必要書類

検認申立のためには、以下の書類が必要です。

  • 検認申立書:家庭裁判所に提出するための書類です。これには遺言書の内容や相続人の情報を記載します。
  • 遺言書:実物を提出します。改ざんのない状態で保管していたものをそのまま持参します。
  • 遺言者の死亡を証明する書類:死亡届や戸籍謄本などです。例えば、遺言者の死亡届を役所から取り寄せます。
  • 相続人全員の戸籍謄本:相続人全員の関係を確認するために必要です。例えば、兄弟や子供全員の戸籍を取り寄せます。

検認当日の手続きと流れ

検認当日は、家庭裁判所に出向き、以下の手続きを行います。

  • 遺言書の提出:遺言書を裁判官に提出します。例えば、遺言書を封筒に入れて持参し、開封せずに裁判官に渡します。
  • 裁判官による遺言書の確認:裁判官が遺言書の内容を確認し、改ざんされていないかをチェックします。例えば、遺言書の内容を一緒に確認しながら、内容が正しいか確認します。
  • 検認済証明書の発行依頼:検認が終わったら、検認済証明書を発行してもらいます。これを使って相続手続きを進めます。

検認後の手続き

検認手続きが完了したら、検認済証明書を利用して相続手続きを進めます。不動産の名義変更や銀行口座の名義変更などが主な手続きです。

例えば、検認済証明書を持って不動産登記所に行き、不動産の名義を変更する手続きを行います。また、銀行に検認済証明書を提出し、亡くなった方の口座から預金を引き出す手続きを進めます。

これらの手続きには多くの書類が必要となるため、事前に必要な書類を確認し、準備しておくことが重要です。

検認に関するよくあるトラブルと対策

検認手続き中に発生する可能性のあるトラブルとして、以下の例があります。

  • 遺言書の内容に不備がある場合:例えば、遺言書に記載されている日付が不明確だったり、署名がない場合です。このような場合、遺言書が無効となる可能性があります。
  • 相続人間での意見の相違:相続人が遺言書の内容に納得できず、争いが生じることがあります。
  • 遺言書が偽造されている疑いがある場合:遺言書が偽造された疑いがある場合、裁判所での検証が必要です。専門家の鑑定を依頼することも考慮に入れましょう。

これらのトラブルに対しては、弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。専門家のアドバイスを受けることで、適切な対応を取ることができます。

専門家の役割

弁護士の役割

弁護士は、検認手続きのサポートを行います。検認手続きのサポートなどを総合的に行います。検認後のトラブルのサポートも行います。

日本相続知財センター札幌の役割

日本相続知財センター札幌は、相続に関する総合的なサポートを提供します。遺言書の検認後の遺言執行のサポートや、相続税の申告などのサポートを行います。

よくある質問(Q&A)

  • 検認手続きにかかる時間は、通常1~2ヶ月程度です。ただし、必要な書類の準備や家庭裁判所のスケジュールによっては、さらに時間がかかる場合もあります。例えば、相続人が多く、全員の戸籍謄本を揃えるのに時間がかかる場合や、裁判所の混雑状況によって期日が遅れることもあります。

  • 検認手続きの費用は、申請手数料として数百円から数千円程度です。また、戸籍謄本やその他の書類の取得費用も別途かかります。例えば、検認申立書の手数料が800円、戸籍謄本の取得費用が450円前後です。さらに、弁護士に手続きを依頼する場合は、別途弁護士費用が発生します。

  • 検認をしない場合、遺言書の効力が法的に認められず、相続手続きを進めることができません。また、遺言書が改ざんされるリスクもあります。例えば、遺言書を勝手に開封したり、内容を変更することが可能となり、相続人間での争いの原因となります。

  • はい。検認手続きをせずに遺言書を勝手に開封すると、5万円以下の過料が科される可能性があります。また、相続手続きにおいても不利になる場合があります。例えば、検認を経ていない遺言書は不動産の名義変更や銀行口座の名義変更に使用できず、手続きが進まなくなります。

  • 検認手続きが完了したら、家庭裁判所で検認済証明書を申請します。申請には手数料がかかり、証明書の発行には数日から数週間かかることがあります。例えば、申請手数料が500円程度で、証明書の発行には1週間程度かかる場合があります。証明書を取得したら、不動産の名義変更や銀行口座の名義変更などに使用します。

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