知って得する!不動産の生前贈与の方法と税金対策
不動産の生前贈与は、将来の相続税対策として注目されています。しかし、手続きや税金についての広範囲な理解が必要です。
本記事では、不動産の生前贈与に関する基本的な知識から手続き方法、税金対策までを分かりやすく解説します。相続時精算課税制度についても触れますので、ぜひ参考にしてください。
目次
不動産の生前贈与とは?基本の理解
不動産の生前贈与の概要
不動産の生前贈与とは、所有する不動産を生きている間に他人(主に家族)に贈与することです。
例えば、親が自分の所有する土地や建物を子供に贈与するケースが典型的です。
具体的には、不動産の評価額を贈与者の生前に贈与することで、相続時の財産総額を減らし、結果的に相続税の負担を軽減できる場合があります。
また、生前贈与を事前に行うことで、遺産分割をする際の、家族間のトラブルを未然に防ぐことができます。
生前贈与のメリットとデメリット
生前贈与の最大のメリットは、相続税の負担を軽減できる点です。しかし、暦年贈与の非課税枠(年間110万円)を利用して不動産を贈与するのは持分を少しずつ贈与することになり、毎年登記が発生するなどから、あまり現実的ではありません。
そのため、不動産の贈与の場合、相続時精算課税制度を利用することが多いといえます。この制度を利用すると、2500万円までの贈与が非課税となります。
一方で、贈与にはデメリットも存在します。例えば、登記の際の登録免許税が相続時は固定資産税評価額の1000分の4に対し、贈与の場合は1000分の20と5倍になります。また、不動産取得税も受贈者に課税されるため、注意が必要です。
不動産の生前贈与の具体的な手続き方法
不動産の贈与の準備と必要書類
不動産の生前贈与を行う際には、事前に必要な書類を揃えておくことが重要です。
具体的には、贈与契約書、不動産の登記簿謄本、固定資産評価証明書などが必要です。これらの書類を準備することで、手続きがスムーズに進みます。
まず、贈与契約書を作成します。これは、贈与者と受贈者の間で贈与の合意を正式に記録するための書類です。
ただし、契約の当事者に判断能力が必要です。例えば、贈与者が高齢で認知症等で判断能力が低下している場合は、贈与契約自体ができない場合もあるので注意が必要です。
次に、不動産の登記簿謄本を取得し、不動産の所有権を確認します。最後に、固定資産評価証明書を用意し、不動産の評価額を把握します。
実際の贈与手続きの流れ
実際の贈与手続きは以下のステップで進めます。
まず、贈与契約書を作成し、贈与者と受贈者が署名捺印します。その後、贈与契約書をもとに、不動産の登記変更手続きを行います。登記変更手続きは、法務局で行い、不動産の所有権を受贈者に移します。
暦年贈与で贈与税が発生する場合、また相続時精算課税制度を利用する場合は、贈与税の申告を行います。相続時精算課税制度を利用した贈与税の申告は、贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日までに行わなければなりません。贈与税が発生しなくとも申告の必要があるのです。必要な書類を揃え、税務署に提出し、贈与手続きが完了します。
相続時精算課税制度を利用した不動産の生前贈与
相続時精算課税制度を利用する際のポイント
相続時精算課税制度を利用することで、2500万円までの贈与が非課税となります。
この制度は、贈与者が60歳以上の親または祖父母であること、受贈者が18歳以上の子か孫であることが条件です。
この制度を利用することで、大きな金額の不動産を一度に贈与でき、一時的な贈与税の負担を軽減することが可能です。例えば、評価額2000万円の不動産を一度に贈与しても、2500万円の非課税枠内であれば贈与税はかかりません。
ただし、相続時精算課税制度を一度利用すると、暦年贈与に戻せない点に注意が必要です。また、相続時には贈与時の評価額で相続財産に含めては、再計算されるため、相続税の節税にはなりません。
しかし、相続時に相続税の基礎控除以下の財産で相続税がかからないと予想される場合は、相続時精算課税制度を利用することにより、贈与税・相続税がかからずに不動産を贈与することが可能です。
また相続時精算課税制度を利用した場合の、相続時の財産評価は贈与された時の相続税評価額となります。とすれば、将来的に地価が上がることが見込まれる土地の場合、値上がり分は課税対象にならず、実質的な相続税対策になります。
不動産生前贈与における注意点
贈与後の登記と名義変更
不動産を生前贈与契約した後には、登記による名義変更の手続きを行う必要があります。これを怠ると、正式に所有権が移転したと認められず、後々のトラブルの原因となります。
登記の際には、登録免許税がかかります。登録免許税は固定資産税評価額に基づいて計算されるため、事前に確認しておくことが重要です。また、名義変更が完了したことを確認するために、登記簿謄本を取得しておくと安心です。
家族間のトラブルを避けるためのポイント
不動産の生前贈与は、家族間でのトラブルを避けるために計画的に行うことが重要です。
可能であれば、贈与の意思や理由を家族全員に説明し、納得を得ることも大切です。
特に、兄弟姉妹間での不公平感を避けるため、公平な分配を心がけることが必要な場合もあります。
専門家の役割
不動産の生前贈与を円滑に進めるためには、専門家のサポートが欠かせません。ここでは、税理士、司法書士、日本相続知財センター札幌の各専門家が果たす役割について説明します。
税理士
税理士は、税金に関するプロフェッショナルです。不動産の生前贈与に関する贈与税や相続税の計算、申告手続きをサポートします。税理士に相談することで、最適な節税対策や贈与方法についてアドバイスを受けることができます。
司法書士
司法書士は、登記に関する専門家です。不動産の生前贈与に伴う登記手続きや、名義変更をスムーズに進めるためのサポートを行います。司法書士に依頼することで、法的に問題のない贈与契約を締結し、安心して不動産の贈与を進めることができます。
日本相続知財センター札幌
日本相続知財センター札幌は、相続や贈与に関する総合的なサポートを提供しています。税理士や司法書士と連携し、お客様の状況に応じた最適なアドバイスを行います。
不動産の生前贈与は複雑な手続きが伴います。専門家のサポートを受けることで、確実で安心な贈与を実現しましょう。お気軽に日本相続知財センター札幌までご相談ください。
不動産生前贈与に関するよくある質問
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不動産生前贈与は、生前に不動産を贈与することで、相続税の負担を軽減します。一方、相続は、亡くなった後に財産を相続することで、相続税が課されます。生前贈与は贈与税がかかる一方で、相続は相続税が課されるという違いがあります。
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生前贈与の最適なタイミングは、贈与者が健康であり、贈与する意思が明確なときです。贈与者に判断能力が必要であり、認知症等になると贈与が困難になります。早めに贈与を開始することが重要です。
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贈与を受ける側には贈与税が課されます。贈与税の計算方法は、贈与された財産の評価額から基礎控除額110万円を引き、その差額に累進税率を適用して算出されます。
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不動産生前贈与に必要な書類には、贈与契約書、不動産の登記簿謄本、固定資産評価証明書などがあります。これらの書類を準備することで、贈与手続きをスムーズに進めることができます。
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贈与税の申告は、贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日までに行います。必要な書類を揃え、税務署に提出します。申告書には、贈与契約書や評価証明書などの添付が必要です。
この記事の監修者
税理士法人 中野会計事務所
税理士 湯山 啓太
大学卒業後、複数の会計事務所において法人税業務に加え、個人および法人の相続・贈与・事業承継などの資産税業務の担当として勤務したのち、2019年10月より税理士法人中野会計事務所に所属。千葉県税理士会 所属、登録番号118096。相続税申告を数多く手掛け、個人から法人まで税務についての幅広いサービスを提供している。