親から子への資金移動や通帳の名義変更をするには?
生前贈与と相続時の手続きの違い
親から子への財産の移動は、多くの家族にとって避けて通れない大切なプロセスです。特に現金の資金移動、通帳や預金の名義変更は、将来の相続を見据えた資産管理や相続対策の一環として、非常に重要な手続きです。しかし、この過程には贈与税や相続税といった税金の問題、必要な書類の準備、そして正しい手続きの方法など、さまざまな注意点が存在します。そこで、この記事では親から子への通帳名義変更をスムーズに行うための基本知識から、生前贈与と相続時の手続きの違い、税金の考慮事項までわかりやすく解説していきます。
目次
親から子への資金移動や通帳の名義変更とは?
名義変更の基本知識
親から子への現金の資金移動や通帳や預金の名義変更は、資産管理や相続対策の一環として検討されるケースが多いです。このプロセスにおいて、贈与契約の作成や贈与税、相続税の申告が必要になる可能性があります。特に、110万円を超える金額の移動は、注意深い対応が求められます。
生前と死後の手続きの違い
生前の資金移動や、通帳などの名義変更は生前贈与として成立し、贈与税の対象となり得ます。一方、死後の資金移動や名義変更は遺産分割の一部として扱われ、相続税の計算に含まれます。どちらのケースも、非課税枠や基礎控除の利用が税対策の重要なポイントとなります。
生前における資金移動の名義変更の手続き
必要な書類と手続きの流れ
生前の資金移動は、贈与となるため、贈与者と受贈者の意思の合致が必要となります。現金の資金移動、例えば、親の通帳から子供の通帳への資金移動であれば振込をすればそれで資金移動は完了です。ただし、110万円を超える場合の贈与となる場合は、贈与契約書の作成、確実な資金移動、そして、子の通帳は親ではなく子が管理することが必要となります。また、通帳などの名義変更の場合、印鑑証明や本人確認書類、場合によっては贈与契約書の用意が必要です。金融機関によっては、特定の書類や協議書の提出を求められることもあります。プロセスは、まずは贈与の意志があることを明確にし、必要書類を集めて金融機関へ提出する流れになります。
税金の考慮事項と相続税対策
贈与税は、年間110万円以内の贈与であれば非課税ですが、それを超えると税率に応じて課税されます。生前贈与の場合、特例として教育資金や結婚・住宅資金の贈与にはより高い非課税枠が適用される場合があります。相続税対策としては、暦年ごとに贈与することや、基礎控除の範囲内での分割贈与が考えられます。
死後における資金移動・名義変更の手続き
相続と資金移動・名義変更の関係
死後の資金移動や名義変更は、被相続人が作成した遺言書や、相続人間の遺産分割協議に基づいて行われます。遺言書がある場合は遺言書の内容通りに遺言を執行していきます。遺産分割協議の場合は、相続人全員の同意が必要であり、遺産の総額に応じて相続税が計算されます。相続財産の中に普通預金や定期預金がある場合、それらの残高は遺産総額に加算されます。
必要な書類と手続きの流れ
相続による資金移動や名義変更の手続きには、遺言執行の場合は遺言執行者の権限で、遺言の内容通りに、遺言書を提出して手続きを行います。遺産分割協議の場合は、遺産分割協議書が必要となり、死亡証明書、被相続人名義の預金通帳、印鑑証明書などが必要になります。これらの書類を用意した上で、金融機関の指定する窓口に提出し、資金移動の前提となる、預金口座の解約や名義変更の手続きを行います。
資金移動・通帳の名義変更は専門家への相談がおすすめ
税務調査や遺産分割に関する複雑な問題に直面した場合は、専門家のアドバイスが不可欠です。資金移動や通帳の名義変更をスムーズに進めるためには、あらかじめ必要書類を整理し、贈与税や相続税の基本的な知識を身につけておくことも重要です。また、専門家に相談することで、より複雑なケースにも対応可能になります。日本相続知財センター札幌では当センターが窓口となり、相続手続きの各プロセスに応じて税理士・弁護士・司法書士・社会保険労務士・行政書士、さらには土地家屋調査士や不動産鑑定士などの専門家とお客さまをおつなぎしております。ぜひ一度当センターへご相談ください。
無権代理と相続に関するよくある質問
-
親が子供の名義で作成した口座であっても、あくまでも子供名義の通帳なので、名義人穂人が手続する必要があり、親が無制限に引き出せるわけではありません。
また、親が死亡した場合、このような口座は、「名義預金」とみなされます。その口座の名義人であれば、自分の口座ですので当然お金を引き出せます。
しかし、他の相続人がお金を引き出すことは名義人でないため、できません。 -
家族が亡くなった際、故人の名義である銀行口座は凍結されます。相続人が口座内の資産にアクセスするには、法定相続人であることを証明する書類と、故人の死亡証明書を銀行に提出し、相続手続きを行う必要があります。
このプロセスには、遺産分割協議書が必要となることもあり、手続きは地域や銀行によって異なるため、具体的な手続きについては亡くなった家族の口座がある銀行へ確認することをおすすめします。
この記事の監修者
税理士法人 中野会計事務所
税理士 湯山 啓太
大学卒業後、複数の会計事務所において法人税業務に加え、個人および法人の相続・贈与・事業承継などの資産税業務の担当として勤務したのち、2019年10月より税理士法人中野会計事務所に所属。千葉県税理士会 所属、登録番号118096。相続税申告を数多く手掛け、個人から法人まで税務についての幅広いサービスを提供している。