不動産が祖父母名義だった!遺産分割協議や相続登記の対処法を詳しく解説!
祖父母の名義が残ったまま何十年も放置された不動産を、今になって相続登記しようとするととても大変です。たとえば「親が亡くなったので相続登記を進めよう」と登記簿をとってみたところ、じつは名義が祖父母のままになっていた…という話は珍しくありません。加えて、おじやおば、いとこなど多くの相続人と連絡を取り、同意をもらう必要が出てくると一気にハードルが上がります。
この記事では、そんな状況でもスムーズに相続登記を目指すための基礎知識や手続きの流れ、専門家の活用方法を解説します。古い戸籍の取り寄せや長期放置によるリスクを理解し、早めに準備を進めましょう。
目次
祖父母名義の不動産 相続登記の基礎知識
相続登記とは何か
相続登記は、亡くなった人が持っていた不動産を受け継いだ人の名義に変更する手続きです。通常は「亡くなったらなるべく早く登記を切り替える」という流れですが、以前は相続登記が義務ではなかったため、手続きしないまま放置されるケースが多く見られました。
たとえばあなたが「親名義だろう」と思っていた不動産を調べてみると、実は祖父母の名義のままで、そこから二段階・三段階と相続登記を重ねないといけない状況が判明することもあります。いざ売却や再建築を考えたときに名義が祖父母のままだと、取引の前提が整わず困るので早めの対処が大切です。
長期間の放置がもたらすリスク
祖父母が亡くなってから何十年も経っていれば、その間に相続人の一部が亡くなっていたり、遠方に住んでいて連絡が取れないこともあります。相続人が多いほど遺産分割協議が複雑になり、時間も費用もかかります。
放置された不動産をいざ相続登記しようと思っても「そもそも相続人が何人いるのか把握できない」「必要な戸籍が見つからない」といったトラブルがよく起こります。たとえ住んでいる人があなた自身でも、名義が祖父母のままだと売却や権利移転も自由にできません。さらに2024年4月以降は相続登記が義務化され、長期放置には罰則が科されるリスクも高まります。
戸籍収集で相続人を確定する重要性
相続登記には、被相続人(亡くなった方)の誕生から死亡までの一連の戸籍(改製原戸籍や除籍謄本を含む)をそろえることが前提です。祖父母の戸籍が古いほど書類の数が多く、改製や本籍地変更をしていると複数の自治体に請求しなければならないため、時間と手間がかかります。
しかし相続人を全員明らかにしないと、たとえば一人でも協議に参加できなかった場合には遺産分割協議が成立しません。「遠方で連絡先が分からない親族がいる」「亡くなったおじやおばにも子ども(いとこ)がいる」など、世代が下るほど関係者が増えるので注意が必要です。
不動産の相続登記については、「不動産相続登記についてわかりやすく解説。費用・手続き・必要書類等知りたいことがわかる!」記事でも詳しく説明していますのでご参照ください。
遺産分割協議を進めるときのポイント
遺産分割協議書の作成手順
相続登記を申請する前には、相続人全員で「誰がどの不動産を取得するか」を決める必要があります。これが遺産分割協議です。協議が終わったら内容を文字に起こし、全員が署名・実印で押印する「遺産分割協議書」を作成します。
- 不動産の所在や地番などを正確に記入する
- 相続人全員の住所氏名を明記する
- それぞれが受け取る財産の範囲を明確にする
作成を適当に済ませると法務局で登記申請を受け付けてもらえず、やり直しになるかもしれません。二度手間を避けるためにも、相続人全員ときちんと合意を取ったうえで書面に残しましょう。
親が亡くなった後に気づいた祖父母名義の典型事例
- 事例1:本当に親名義だと思っていた
親が亡くなったので、家の名義変更をしようと固定資産税の納税通知書を確認したら、実は祖父母の名前のままだったというもの。いざ調べてみると30年前に祖父母が亡くなっていたが、登記をしていなかったので相続人が増えてしまっている。 - 事例2:住んでいる土地が祖父母名義だった
「子どもの頃からずっと実家の敷地だし、当然親名義だろう」と思って暮らしていたら、役所で調べて初めて祖父母のままだと判明。地目変更や建物の建替えをしたいのに名義が違うため、法務局で手続きできず困っている。
おじやおば、いとこなどが多数いる場合の対応策
祖父母が亡くなってから数十年経っている場合、おじやおば、さらにその子(いとこ)にも相続分が及ぶ可能性があります。連絡先を探すだけでも手間がかかりますが、協議を進めるには全員の合意が不可欠です。
- まずは相続関係を正確に図で整理する
名前や住所、続柄などをまとめ、誰が“欠けている”のか分からない状態を避ける - 郵送やオンラインをうまく使う
直接会うのが難しいときは、書類を郵送したりビデオ通話などで協議の意見を聞く方法もある - 専門家の仲介を検討する
感情的なすれ違いや理解不足で話が進まないときは、司法書士や行政書士、弁護士など第三者を通じてコミュニケーションを図るとスムーズになりやすい
相続登記に必要な手続きと流れ
必要書類の準備と注意点
相続登記の申請では、基本的に次の書類が必要です。
- 亡くなった祖父母の出生~死亡までの戸籍(除籍・改製原戸籍含む)
- 親の世代も同様に、死亡した方の戸籍一式
- 相続人全員の現在の戸籍謄本
- 遺産分割協議書(押印済の原本)
- 不動産を相続する人の住民票
- 固定資産評価証明書(自治体で取得)
親が亡くなっている場合、祖父母分の戸籍だけでは不十分で、親の分もそろえる必要があります。戸籍を集める過程で「初めて知る家系の事実」が出てくることもあるため、可能な限り早めに取りかかっておくと安心です。
二段階・三段階登記が必要な場合の進め方
祖父母の相続登記をしていないまま、さらに親が亡くなっている場合、相続登記が二段階・三段階になることがあります。
- 祖父母→親への相続登記
まずは祖父母の相続登記を完了し、親の名義に変更する - 親→あなた(もしくは兄弟姉妹など)への相続登記
親が亡くなったことで、次にあなたや兄弟姉妹が相続する登記を行う
相続登記は原則「一つ前の名義人から直接相続する人」へ順を追って移転するイメージです。親の分を飛び越して祖父母からいきなりあなたへ登記することは基本的にできません(特殊な事例を除きます)。
この多段階手続きをスムーズにこなすには、複数回の遺産分割協議や戸籍収集をまとめて管理し、進捗を把握しておくことが大切です。
手続きをスムーズに進めるポイント
- 相続人のピックアップを最優先に
誰が相続人なのか不明瞭なまま進めると、後から「実は相続人だった」という人が出てトラブルになります。 - 協議前に全体像を共有しておく
いとこ同士で認識がずれていると合意形成に時間がかかります。概要を示した一覧図やメモを用意するのが効果的です。 - 時間と労力を見込んで計画的に着手する
登記や書類集めに期限はありませんが、先延ばしにするとさらに別の相続が発生し、状況が深刻化する可能性があります。
専門家の役割と日本相続知財センター札幌のサポート
司法書士や専門家が担う部分
相続登記に強い司法書士は、戸籍のチェックや書類不備の確認、法務局への申請を代行してくれます。大量の戸籍を一つずつ検証して、相続関係に漏れがないかを調べるのは想像以上に大変です。専門家を介すと、間違いが早期に発見できたり、申請がスムーズになるメリットがあります。
また、状況が複雑で協議が進みにくいときは、行政書士や弁護士など別の専門家と連携してサポートに入る場合もあります。
日本相続知財センター札幌の特徴
日本相続知財センター札幌は、相続全般の手続きを専門に扱い、必要に応じて提携する司法書士・行政書士・弁護士と連携しながら幅広く支援します。戸籍収集のアドバイスや、複数世代にわたる相続登記の進め方など、利用者の背景を深く理解して最適な方法を提案してくれる体制が整っています。
「おじやおばが高齢で遠方に住んでいる」「親戚間で話し合いがうまくいかない」などの悩みにも親身に対応し、一緒に解決策を探すスタンスが特徴的です。
専門家に依頼するメリット
- 書類ミスや重複申請のリスクが減る
不備で法務局から差し戻しになる回数が大幅に減り、結果として手続きが早く終わることが多いです。 - 親族間の調整がしやすい
当事者同士では感情が高ぶり、話がこじれることも。第三者として専門家が入ると、スムーズに協議を取りまとめられる場合があります。 - 時間と労力を節約できる
難しい書類作成や役所への問い合わせを一部任せられるので、本業や日常生活に支障をきたしにくくなります。
よくある質問(Q&A)
-
まずは相続人が誰なのかをしっかり調べ、次に祖父母の相続登記と親の相続登記という順番で段取りを組みましょう。戸籍収集や協議の段階で困ることが多いので、専門家に相談しつつ進めるのが安心です。
-
名義が祖父母のままでも、勝手に他人に取られるわけではありません。ただし、相続登記をしないまま放置すると将来の売却や名義変更が難しくなり、相続人が増えると話し合いの負担も増えます。なるべく早めに名義整理するほうが結果的に安全です。
-
他の相続人が自分の取り分を主張してくることはあり得ます。住んでいるからといって全面的に権利が確定しているわけではないため、適切に協議をして同意を得る必要があります。
-
意見が対立してしまったら、専門家や第三者に調整を依頼する方法があります。とくに感情的なトラブルが起きやすい相続では、冷静なアドバイスを受けながら話し合うほうが早くまとまることが多いです。
-
相続登記は本来、亡くなった方ごとに申請する手続きです。祖父母→親、親→あなたと二段階の登記が必要なら、その都度登録免許税を支払う形になります。ただし、どちらにしても避けられない費用であり、後回しにしても状況が悪化するだけなので、早めにまとめて進めたほうが良いでしょう。
この記事の監修者

一般社団法人 日本相続知財センター札幌
常務理事 成田 幹
2012年行政書士登録。2014年日本相続知財センター札幌 常務理事に就任。遺言・任意後見・家族信託などのカウンセリングと提案には実績と定評がある。また、法人経営者の相続・事業承継支援の経験も豊富で、家族関係に配慮した提案が好評。