LINE連載 「虎震(トラブル)家の悩める人々~生前対策・一郎編」アーカイブ(#1〜#4)

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各エピソードの概要と共に、相続に関するトラブルやその解決策を学ぶことができます。気になるエピソードをチェックし、ぜひLINEでの連載配信にもご登録ください!

虎震(トラブル)家の悩める人々~生前対策・一郎編①

 一郎は、父親の遺産を相続してから数年が経ちました。
その過程で直面した数々のトラブルが、今でも彼の心に影を落としています。 

もともと自分が独り占めしようとして起きたトラブルであり、心から反省していました。一歩間違えばきょうだいとの縁が切れる危険もあったわけです。

それが解決した今でも、一郎は自分自身の未来に対する不安を拭い去れないでいました。 

一郎は会社を経営しており、事業はまずまず順調です。が、彼には後継者がいません。
現在の妻との間には娘が二人いますが、まだ育ち盛りの学生であり、事業を引き継ぐ話は遠い未来のように感じられます。

一郎の漠然とした不安の原因は、前妻との間の息子の洋平(23歳)です。
離婚してからは前妻に養育費を支払っていましたが、洋平とは連絡を取っていません。連絡を取りたいと何度も試みたものの、会うところまでは踏み出せていません。

「俺がもし亡くなったら、洋平も相続人になるんだよな…」

遺産を渡したくないわけではありません。年月は経っていますが、今でも離婚して家を出ていく際の小さな息子のあどけない笑顔を忘れてはいません。

離婚原因を作ったのは自分であり、罪の意識はいまでもぬぐえず、彼にもなんとか手当をしてあげたい。
でも、今の妻や娘たちも守ってやらねば…。

 それらの感情が入り混じり、どうしようもない不安が彼を襲います。

一郎は、友人から紹介してもらった専門家の名刺をじっと見つめていました。
日章旗を背景にした珍しいデザインに目をやると、、

 「ジャパン相続センター 行政書士 郷 秀樹(ごう ひでき)」
とゴールドの文字で印刷され、その下はこう記載されています。

 ”あなたの億千万の悩みを私が解決します” 

「大丈夫かな…この人。」

虎震(トラブル)家の悩める人々~生前対策・一郎編②

一郎は、紹介されたジャパン相続センターの事務所へと足を運びました。
郷(ごう)秀樹という行政書士に会うためです。

 事務所のドアをくぐると、予想以上に広々とした空間が目に入ります。壁には「相続のプロフェッショナル」と書かれた大きな文字と、いくつかの相談実績が掲示されており、少しだけ安心感を覚えました。

 受付を済ませ、待合室に座る一郎。

 「一郎さん、お待たせしました!」 

突然、明るい声が響きます。振り返ると、郷が一郎の前に立っていました。
初対面の印象は意外と柔らかく、落ち着いた物腰の紳士。名刺で見た「億千万の悩み」というフレーズとは少し異なる雰囲気です。 

「どうぞ、こちらへ」と促され、相談室へ移動します。そこで一郎は、自分の状況と悩みを打ち明けました。父の相続から続いたトラブル、後継者がいないこと、息子・洋平との複雑な関係…。
すべてを話し終えると、少し肩の荷が下りた気がしました。

郷は静かに頷きながら聞いていましたが、話が終わると一息つき、穏やかな笑顔を浮かべて言いました。 

「一郎さん、まずはお話ししてくださってありがとうございます。実は、お伝えしたいことがあります。」 

一郎は身構えました。「やはり、俺の問題は解決しにくいんだろうか…?」
そんな不安が頭をよぎります。

 しかし、郷が口にしたのは意外な一言でした。 
「一郎さん、あなたの事業、そして家族に対する一番のリスクは『あなたの迷い』です!」

「え?迷い…?」
一郎は戸惑いを隠せません。

虎震(トラブル)家の悩める人々~生前対策・一郎編③

「一郎さん、あなたの事業、そして家族に対する一番のリスクは『あなたの迷い』です!」

 郷(ごう)の言葉が一郎の心に重く響きました。 

「そして、あなたの存在自体がリスクなんですよ…。」

 郷は静かに、一郎を見つめ、さらに続けます。

 「もし、あなたが何も準備せずに亡くなってしまえば、あなたは家族に大きな負担を残し、『罪作り』になりますよ。」 

「罪作り…?」
一郎はその言葉の意味をすぐに理解できず、戸惑いを隠せませんでした。 

郷は真剣な表情で言います。 
「あなたが迷っている間に、もしあなたが急に亡くなってしまったらどうなるでしょうか?その時、誰が家族や事業を引き継ぐのでしょうか?」 

一郎は言葉を失います。もし自分に何かあったら、息子の洋平と今の妻、それに二人の娘たちがどうなるか具体的には考えたことがありませんでした。 

「前妻の子である洋平さんと、今の奥さん、そして今のお子さんたちが遺産について話し合う必要が出てきます。それがスムーズにいくと思いますか?」

 郷は一郎の目をじっと見つめ、問いかけました。

「それまでコミュニケーションをとっていなかった人々に、あなたの遺産を巡っての話し合いをさせること。それ自体がある意味『罪作り』です!
そして、その話し合いがうまくいかないとすると、あなたは自分の家族に非常に大きな痛みを与えることになる。それがまさに最大の『罪作り』ということです。」 

「罪作りか…。」一郎は、考え込むように視線を落としました。

 悩める一郎を見て、郷はニヤリと笑います。 

「一郎さん、そんなに悩まなくても、あなたがその気になれば解決します。大丈夫!」

 「先生、さんざん脅しておいて…。そんな明るく元気に言わないでくださいよ」
一郎は苦笑します。

虎震(トラブル)家の悩める人々~生前対策・一郎編④

「まず、遺言を作ることを考えましょう。」

 郷の静かな言葉が、一郎の耳に響いた。何度も頭の中で避けてきた言葉だが、今の状況では避けられない現実だった。
一郎は眉を寄せ、少し間を置いてから口を開いた。 

「遺言を作ることか…正直、まだ実感がわかないんです。そんなに早急に決めなきゃいけないんでしょうか?」

 郷はゆっくりと首を振った。
「一郎さん、遺言を作ることは、未来に備えることです。遺言があれば、万が一の時に家族が迷わずにあなたの意志を受け取れるんです 。
『まだ早い』と考えるかもしれませんが、早めに準備をしておくことで、あなたも家族も安心できます。」 

「安心、か…。」
一郎はその言葉を反芻した。
確かに、何もしなければ、不安だけが残るのだ。今の自分が家族に残すべきものは、争いではなく、未来への道しるべなのだと少しずつ理解し始めていた。

 郷は一郎をじっと見つめ、
「遺言はただ単なる遺産の分け方を指示する文書ではないんですよ。表面上はそう見えますが。遺言とは、財産の裏にあるご自分の信念やエネルギーを次世代に伝える文書なんです!」

「え?じゃあ、財産はその人の信念やエネルギーを反映したものってことなんですね?オカルトっぽい発想ですね…。」

 「まあ、オカルトといえばそうです。ただ、仮にオカルトだとしても、経験上そうとしか言えないのですよ。 遺産をもらった側はそれに残存している信念やエネルギーをまともに受けることになります。」 

「相続するとそれが毒になり遺産をもらったが故に人生が狂ってしまう人も出てきます。散財してしまう人もいます。そういう話、よく聞くでしょ?結果的に良くない結果になる場合も多いのですよ。

だから、遺言を作成する際は、受け取る側の人が『その財産を受け継ぐ器があるか』どうかを考える必要があるんです。」 

一郎はしばらく考えた後、ゆっくりとうなずいた。

自分も父親から実家を相続したが、相続を機に意識や人生の流れがなんとなく変わったような感覚があるからだ。 

不安は完全に消え去るわけではないが、郷の言葉には確かな信頼感があった。そして、ようやく自分も動き出す時が来たのだと感じた。 


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