相続人必読!遺言書が無効になる場合と対処法

遺言書は遺産をスムーズに分配するための重要な書類ですが、無効になるケースも少なくありません。本記事では、自筆証書遺言と公正証書遺言が無効になる具体的な理由や対策を詳しく解説します。これにより、遺言書が無効とされるリスクを減らし、相続トラブルを未然に防ぐための知識を提供します。家族が円満に相続を迎えられるよう、しっかりと対策を講じましょう。

遺言書が無効になる場合の影響

遺言書が無効になることの影響

遺言書が無効になると、遺産の分配に混乱が生じます。特に、自筆証書遺言や公正証書遺言の無効は、相続人間での争いを引き起こす原因となります。遺言書が無効になると、遺産の分割が遺産分割協議に基づいて行われ、遺言者の意図が反映されないことがあります。これにより、相続人間での争いが生じやすくなり、家庭内の関係が悪化するリスクがあります。

自筆証書遺言が無効になる場合

署名や押印の不備

自筆証書遺言には、遺言者本人の署名と押印が必要です。署名や押印が欠けている場合、その遺言書は無効となります。

日付の不明確さ

遺言書には作成した日付が明確に記載されていなければなりません。日付が不明確だったり、記載がなかったりすると、遺言書の有効性が疑われます。日付が欠けていると、どの時点の意図が反映されているのか分からなくなるため、無効と判断されます。

内容の曖昧さ

遺言書の内容が曖昧であったり、矛盾があったりすると、その遺言書は無効になる可能性があります。具体的には、遺産の分割方法が不明確だったり、特定の財産が複数の相続人に同時に遺されている場合などが該当します。

遺言者の意思能力の欠如

遺言者が遺言書を作成した時点で意思能力がなかったと判断される場合、その遺言書は無効となります。意思能力とは、自分の行為の結果を理解し、それに基づいて判断を下す能力を指します。遺言書作成時に精神的な病気や認知症などで意思能力がないとされた場合、遺言書は無効となります。

偽造や強制された場合

遺言書が偽造されたり、遺言者が強制されて作成したものであった場合、その遺言書は無効です。たとえば、家族や第三者による圧力や脅迫があった場合、遺言書の無効が主張されることがあります。

公正証書遺言が無効になる場合

遺言能力の欠如

遺言者が公正証書遺言を作成する際に意思能力を持たなかった場合、その遺言書は無効とされます。遺言能力が欠如していると、公証人が遺言者の真意を確認できないため、無効となります。遺言能力とは、遺言者が自分の意思をはっきりと表明できる能力を指します。

口授の欠如

公正証書遺言は、遺言者が公証人に対して自分の意思を口頭で伝えることが必要です。この手続きを「口授」と言います。口授が行われなかった場合、その遺言書は無効となります。たとえば、たとえば、遺言者が公証人の読み聞かせに単にうなずいたに過ぎない場合などは、口授があるといえず、遺言は無効となる可能性が高いと言えます。

証人の不適格

公正証書遺言には証人が2人必要ですが、その証人が法律の要件を満たしていない場合、遺言書は無効となります。証人は遺言者と利害関係がない人でなければならず、相続人やその配偶者、直系血族は証人になることができません。証人が不適格であると、その遺言書は無効となります。

公序良俗違反

遺言書の内容が公序良俗に反する場合、その遺言書は無効となり得ます。公序良俗とは、公の秩序や善良な風俗を指し、社会的に受け入れられる基準を意味します。例えば、配偶者がいるのに、他の交際相手に全財産を遺贈する遺言などが典型的なケースです。

無効を防ぐための対策

適切な法的助言の重要性

遺言書を作成する際には、専門家の助言を受けることが重要です。専門家の助言を受けることで、法的に有効な遺言書を作成することができます。

自筆証書遺言と公正証書遺言の選択と使い分け

自筆証書遺言と公正証書遺言には、それぞれメリットとデメリットがあります。自筆証書遺言は手軽に作成できる反面、誰のチェックも入らないことも多く、無効になるリスクが高いと言えます。一方、公正証書遺言は公証人が関与するため、法的に有効性が高いですが、手続きが複雑です。状況に応じて適切な形式を選ぶことが重要です。

専門家によるチェック

遺言書を作成した後も、専門家によるチェックを受けることで無効になるリスクを減らすことができます。遺言書を確認してもらい、不備がないかどうかを確認することが重要です。

無効になった場合の対処法

他の相続人・受遺者の意思・意見を確認

遺言書が無効ではないかと思ったら、まず、ほかの相続人や受遺者の意思や意見を確認する必要があります。ほかの相続人の全員が無効だと言う場合には、遺言書を使用せず、他の相続人と改めて遺産の分け方を協議することも可能になります。その場合は、受遺者への財産の移転方法を別途協議する必要はありますが、これで解決です。しかし、逆に一人でも反対者がいた場合は、次にステップに進みます。

調停を申し立てる

遺言書が有効か無効かについて、他の相続人や受遺者との合意が取れない場合は、裁判所で手続きをします。

まず、調停の相手となる他の相続人の住所地の家庭裁判所に「家事調停」を申し立て、調停委員に間に入ってもらい、解決を目指します。 調停委員会は裁判官1人と2人の調停委員で構成されていて、各当事者から事情や意見を聞いて、有効か無効かの助言を与えてくれます。ただし、その助言に必ず同意しなければならないというわけではありません。 

話し合いの結果、全員が納得すれば、無効という結果を導くことができます。 それでも、同意が得られない場合は、最後の手段として訴訟を起こすことになります。

遺言無効確認訴訟を起こす

交渉や調停で合意ができなければ、地方裁判所に遺言無効確認訴訟を提起します。調停は家庭裁判所ですが、訴訟は地方裁判所です。

訴訟では、原告と被告がお互いに主張や立証を重ねていき、これらが出揃った段階で、裁判官による判断がなされます。なお、お互いに譲歩し、和解という形で終了することもあります。

専門家の役割

専門家の役割

遺言書の作成や無効確認の手続きには、専門家の助言が不可欠です。弁護士や司法書士は、法律に基づいた適切なアドバイスを提供し、遺言書が無効とならないようサポートします。また、遺言書の無効確認や相続手続きの際にも、専門家の助けを借りることで、スムーズに進行できます。

日本相続知財センター札幌の役割

日本相続知財センター札幌は、相続に関する総合的な支援を提供しています。遺言書の作成から無効確認の手続き、相続人間の調整まで、幅広いサービスを提供し、相続問題の解決をサポートします。専門家の豊富な知識と経験を活用することで、相続に関する悩みを解消し、円滑な手続きを実現します。

よくある質問(Q&A)

  • 無効な遺言書に対しては、まずは相続人や受遺者全員の意思確認をします。それで全員が無効であるとの意思確認ができれば、遺言を使わず、遺産分割協議を行います。合意形成が出来ない場合は、家庭裁判所に無効確認の調停の申し立てを行います。調停が不調に終わった場合には、地方裁判所への訴訟に移ります。

  • 無効な遺言書の影響を避けるためには、遺言書を作成する際に法律の専門家に相談し、正確かつ適切な内容で作成することが重要です。また、定期的に遺言書を見直し、不備がないか確認することも必要です。

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