LINE連載 「虎震(トラブル)家の悩める人々~生前対策・二郎編」アーカイブ(#1〜#4)

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各エピソードの概要と共に、相続に関するトラブルやその解決策を学ぶことができます。気になるエピソードをチェックし、ぜひLINEでの連載配信にもご登録ください!

虎震(トラブル)家の悩める人々~生前対策・二郎編①

「振得瑠(ふるえる)市にすべてを寄付したい」

静まり返った振得瑠(ふるえる)市の夕暮れ。
二郎は自宅の応接間で一人、父の遺品が詰まった箱を見つめていました。

 父の遺産分割で兄と意見が衝突した記憶がよみがえり、二郎は思わず深いため息をつきました。
「自分の死後、この遺産がまた揉め事の種になるのは避けたい…」
その思いが胸に重くのしかかります。 

「俺に子どもがいれば話は違ったのにな…」
二郎はそう呟きました。
しかし、現実は違います。

両親もすでに亡くなり、妻に先立たれ、子どもがいない彼が亡くなれば、法律上、兄妹である一郎と花子が相続人となります。 
しかし、兄とは和解はしたものの、遺産分割を巡り衝突した関係だし、妹花子も信頼はしているものの、遺産を渡すほど深い関係ではないと感じています。 

「ならば、すべてを振得瑠(ふるえる)市に寄付しよう!」
そう思い立ったのは、彼がこの街にどれだけ愛着を抱いているかを再認識したからでした。 この街の自然、地域の人々、そして故郷としての思い出―それらを守るために自分の遺産を役立てたい。
二郎は具体的な方法を考えるため、一郎から紹介を受けた郷秀樹行政書士に相談する決心を固めました。

虎震(トラブル)家の悩める人々~生前対策・二郎編②

「振得瑠(ふるえる)市への寄付の方法」

 数日後、郷行政書士事務所を訪れた二郎は、開口一番にこう切り出しました。
「郷先生、私は自分の死後、財産をすべて振得瑠(ふるえる)市に寄付したいと考えています。ただ、どうやって遺言に書けばいいのか、具体的な方法がわからなくて…。」

 郷は穏やかに頷きながら答えました。
「二郎さん、それは遺言で十分対応できます。遺言書に『振得瑠(ふるえる)市に遺贈する』と明記すれば、ご希望通りの形になりますよ。これを遺言書による『遺贈寄付(いぞうきふ)』といいます」 

「それだけでいいんですか?」
二郎は少し驚いた表情を浮かべました。

 「はい。ただし、遺言書の内容をしっかりと考え、記載する必要があります。振得瑠(ふるえる)市に相談して、具体的な受け入れ体制についても確認しておくと良いですね」
と郷は続けました。 

「なるほど…市側と一度話をしたほうが良いんですね。でも、これでやっと自分の思いを形にできそうです!」
と二郎は安心したようにうなずきました。

郷はさらに、
「遺言は一度作れば終わりではなく、将来気が変わったり新しい考えが浮かんだときには、いつでも変更ができます。その点も安心してください)」と伝えました。

 こうして、二郎の「振得瑠(ふるえる)市にすべてを託す」という計画が、本格的に動き出すことになりました。
彼の中には、故郷への思いを未来に残せるという安堵感が広がっていきました。

虎震(トラブル)家の悩める人々~生前対策・二郎編③

「不動産の遺贈寄付で気をつけるべきこと」 

振得瑠(ふるえる)市への寄付を具体化するため、郷行政書士と打合せを続けています。
今回のテーマは「不動産をどう遺贈寄付に組み込むか」です。

 郷はいつもの穏やかな口調で話を切り出しました。
「二郎さん、不動産を寄付に含めたいとのことですが、不動産は市にそのまま寄付するのが難しいケースがほとんどです。固定資産税負担もありますし、維持管理費もかかるからです。 振得瑠市のような自治体では、不動産を直接受け取るよりも、現金での寄付を望む場合がほとんどですね。」 

二郎は少し驚きながら尋ねました。 
「現金に変えなきゃいけないんですか?それだと手間がかかるような…」

 郷はうなずきながら説明を続けます。
「その点については、遺言執行者を指定することで解決できます。遺言に、『不動産を売却して得た現金を振得瑠市に寄付する』旨を記載します。 遺言執行者が売却手続きと寄付を代行してくれるので、二郎さんが亡くなった後もスムーズに進みますよ!」

「なるほど、でも私の不動産が売れるかどうか不安です。実は、あまり価値がない土地もいくつかあるんです。」と二郎は不安げに打ち明けました。 

郷は少し身を乗り出し、真剣な表情で答えました。
「それは非常に重要なポイントです!近年、価値が低いどころか維持費が負担になる『負動産(まけどうさん)』が社会問題化しています。特に買い手がつかない土地や建物は、遺言執行時に問題が発生する可能性が高いですね。」 

二郎は考え込むように視線を落としました。
「そういう土地をどうすればいいんでしょう?」

郷は具体的な対策を提案しました。
「まず、生前に整理することをお勧めします。例えば、専門業者に依頼して引き取ってもらう方法があります。その際、費用がかかりますが、将来的なトラブルを防ぐためには有効な手段です。残すべき不動産と手放すべき不動産を整理することで、寄付の準備も万全になります。」

 二郎は深く頷きました。
「確かに、今のうちにできることをしておいたほうがいいですね。負動産の整理についても前向きに検討します!」

虎震(トラブル)家の悩める人々~生前対策・二郎編④

「遺留分と遺言執行者」

 振得瑠(ふるえる)市への寄付を着実に進めるため、二郎と郷行政書士は次なる課題に取り組みました。 

「兄と妹が相続人ですが、私の財産をすべて振得瑠市に寄付するのは難しいのでしょうか?」
と二郎は心配そうに尋ねました。 

郷は穏やかな笑顔で答えました。 
「二郎さん、そこはご安心ください。遺言を作成しても法定相続人には遺留分という権利がありますが、兄弟姉妹にはその権利が認められていません。 遺留分は配偶者および直系の相続人のみに認められる権利だからです。ですから、二郎さんのご遺産をすべて振得瑠市に寄付することは、問題ありませんよ。」

 二郎はほっとした表情を浮かべました。
「それなら安心ですね。でも、私が亡くなったあと寄付を確実に実行するには、どうしたらいいのでしょう?」

 郷は少し姿勢を正しながら説明しました。
「遺贈寄付を実行するには、遺言書で遺言執行者を指定することが重要です。」 

「遺言執行者ですか?それはどういう役割ですか?」
と二郎が興味深そうに尋ねると、郷は次のように説明しました。

「遺言執行者は、遺言の内容を実際に実行する責任を持つ人です。二郎さんの場合、不動産を売却し、その売却金を振得瑠市に寄付する手続きをスムーズに進める役割を担います。特に行政書士や司法書士などの専門家が行うことで安心感が得られます。」
ここで郷は少し言葉を添えました。 
「ただ、個人の専門家の命は有限です。具体的には、私が代表を務める社団法人が遺言執行者としての業務をお引き受けすることが可能です。このような専門法人に依頼することで、透明性と確実性を担保しながら、二郎さんの意思を正確に実現できます。」

 二郎は大きくうなずきました。
「なるほど。自分の意思を確実に伝えるためにも、郷先生の社団法人にお願いするのが一番安心ですね。では、郷先生、遺言書の作成を進めましょう!」

 その後、二郎は無事郷行政書士の立ち合いのもと、公正証書遺言を作成することができました。 
「これで安心して日々暮らせるな。」と二郎はほっとして、前向きな気持ちになれたのでした。


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