除籍謄本の取得・見方・活用方法を徹底解説!
除籍謄本は、相続手続きにおいて非常に重要な役割を果たす書類です。しかし、「そもそも除籍謄本とは何か」「なぜ相続手続きに必要なのか」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。本記事では、除籍謄本の基礎知識から取得方法、注意点までを初心者にも分かりやすく丁寧に解説します。さらに、必要な手続きがスムーズに進むよう、具体的なアドバイスや専門家のサポートが必要な場面についても詳しく触れています。
除籍謄本とは何か
除籍謄本の基本情報|戸籍との違いを解説
除籍謄本とは、戸籍に記録されていた全員が結婚、死亡、または転籍などの理由で戸籍から抜けた後の記録をまとめた公的文書です。簡単に言えば、「もう誰もいない戸籍」の全情報を含む文書です。一方、戸籍謄本には現在の戸籍に記録されている全員の情報が記載されています。
例えば、被相続人が東京都で生まれ、大阪で結婚後に愛知県に移り住んだ場合、それぞれの本籍地での戸籍を確認する必要があります。この場合、東京都での戸籍が除籍となり、そこから家族の状況を確認できるのです。
戸籍謄本と除籍謄本の大きな違いは、記録されている人の有無です。これにより、現在の家族構成と過去の家族構成を使い分けて確認することができます。
除籍謄本が相続手続きに必要な理由
相続手続きでは、被相続人が亡くなった時点での相続人を確定させる必要があります。この際、被相続人の生まれてから亡くなるまでの戸籍がすべて必要です。なぜなら、これらの書類を使って法定相続人全員を確認する義務があるからです。
例えば、被相続人の相続人が兄弟姉妹のみの場合、兄弟全員の戸籍が必要です。兄弟が亡くなっている場合、その子ども(被相続人にとっては甥や姪)に相続権が移るため、除籍謄本を通じて情報を確認します。これを怠ると、相続人が足りなくなるため、遺産分割協議が無効になるリスクがあります。
除籍謄本の情報は、遺産分割の場面だけでなく、不動産登記や金融機関での手続きにも必要です。そのため、相続における第一歩として非常に重要な書類です。
除籍謄本の内容|どんな情報が記載されているのか
除籍謄本には以下のような情報が記載されています。
・氏名・生年月日・続柄:家族構成や個人情報を確認します。
・結婚や離婚の記録:配偶者や元配偶者の存在を証明します。
・死亡日や転籍日:家族の動きを追跡します。
例えば、父親が再婚している場合、その配偶者や新たな家族構成が記載されています。これにより、相続に関係するすべての人を確定できます。また、過去の転籍や改製戸籍の変更によって情報が抜けている場合でも、除籍謄本をたどることで正確なデータを把握することが可能です。
除籍謄本の取得方法
どこで取得できる?市役所や役場での手続き
除籍謄本は、本籍地の市役所または役場で取得可能です。本籍地とは、戸籍が登録されている場所を指します。例えば、住民票の住所が東京都でも、本籍地が北海道札幌市であれば北海道札幌市の役所に問い合わせが必要です。
手続きは窓口申請、郵送申請、またはオンライン申請で行えます。特にオンライン申請は、忙しい方にとって便利な選択肢です。ただし、一部の自治体ではオンライン対応していない場合があるため、事前に確認しておきましょう。
窓口では、担当者に「除籍謄本を取得したい」と伝えれば手続きが進みます。郵送の場合、自治体のウェブサイトから申請書をダウンロードし、必要事項を記入して郵送するだけです。
取得に必要な書類と費用
取得には以下の書類が必要です。
・本人確認書類:運転免許証やマイナンバーカードなど。
・被相続人との続柄を証明する書類:現在の戸籍謄本など。
・申請書:自治体指定のものを使用します。
除籍謄本を取得する費用は、1通あたり750円です。
代理人に依頼する場合の手順と注意点
本籍地が遠方の場合や時間が取れない方は、代理人に依頼する方法もあります。この際、以下の手順が必要です。
①委任状を準備:委任する理由や代理人の情報を明記します。
②代理人の本人確認書類を用意:窓口で提示します。
③必要書類を揃える:通常の取得に必要な書類と同じです。
司法書士や行政書士に依頼すると、手続きを代行してもらうことが可能です。例えば、手間のかかる書類作成や自治体への問い合わせを代わりに行ってくれるため、安心感があります。ただし、代行費用が発生するため、事前に費用を確認しておきましょう。
除籍謄本が発行できないケースとその対処法
本籍地が変更されている場合、過去の戸籍を遡って調べる必要があります。例えば、被相続人が転籍を繰り返していた場合、そのすべての戸籍を取得する必要があります。
このような場合、役所に問い合わせをして「戸籍の附票」を取得すると、本籍地の変更履歴を確認できます。この情報を基に、順番に必要な役所で手続きを進めていくことが可能です。
戸籍証明の広域交付の利用
①広域交付とは?
戸籍証明書の広域交付とは、住民票がある市区町村以外の本籍地の戸籍謄本や除籍謄本を、全国どこからでも取得できる制度です。これにより、遠方の本籍地がある方でも、わざわざ現地へ足を運ばずに手続きを行うことが可能です。
②広域交付の申請方法
広域交付を利用するには、以下の手順を踏む必要があります。
A:窓口申請
住民票が登録されている市区町村の窓口で申請します。窓口では「戸籍広域交付申請書」を提出し、申請者の本人確認が行われます。
B:本人確認書類の提示
顔写真付きの公的証明書(運転免許証やマイナンバーカードなど)が必要です。顔写真がない場合は、健康保険証や年金手帳など複数の書類を組み合わせて提示する必要があります。
C:取得費用について
交付手数料は、一通につき戸籍謄本450円、除籍謄本750円、改正原戸籍750円です。申請前に費用を確認するのがおすすめです。
③広域交付を利用するメリット
A:手間と時間の削減
遠方の本籍地まで行く必要がないため、移動時間や費用を節約できます。たとえば、札幌市に住んでいる方が沖縄県の本籍地の除籍謄本を取得したい場合、札幌市の窓口で手続きが完了します。
B:複雑な手続きを簡略化
本籍地の役所へ郵送で申請するよりも、広域交付のほうがスピーディーに書類を受け取ることができます。急ぎの手続きにも対応しやすい点が大きな魅力です。
C:注意点
・電子化(コンピューター化)されていない一部の戸籍・除籍は対象外です。本籍地の市区町村へ直接、郵送等で請求してください。
・取得には本人確認が必須であり、代理人申請はできません。
・市区町村によっては、窓口の対応時間が限られている場合があります。事前に確認しておくことをおすすめします。
除籍謄本の活用方法と注意点
相続手続きで除籍謄本を提出する場面
除籍謄本は、相続手続きの中で次のような場面で必要とされます。
①遺産分割協議書の作成
遺産分割協議書は、相続人全員の同意が必要な重要な書類です。除籍謄本を提出することで、相続人全員の存在を証明し、漏れや不備を防ぐことができます。例えば、被相続人が子どもをもうけた後に再婚している場合、前妻との間に生まれた子どもも相続人となるため、除籍謄本でその事実を明らかにします。
②不動産の相続登記
被相続人名義の土地や建物を相続する場合、相続登記が必要です。法務局に提出する際に、相続人全員の戸籍情報が求められるため、除籍謄本も含めて提出します。これを怠ると、相続した不動産の売却や利用が制限される可能性があります。
③金融機関での手続き
被相続人名義の預貯金口座を解約する際、金融機関は相続人全員の確認を求めます。この際も、除籍謄本が役立ちます。特に、被相続人が家族と疎遠だった場合、正確な相続人を確定するために重要です。
遺産分割協議については「【遺産分割協議とは】相続トラブルを避けるために知っておくべきこと」記事、不動産相続登記については「不動産相続登記についてわかりやすく解説。費用・手続き・必要書類等知りたいことがわかる!」記事でそれぞれ詳しく説明していますのでご参照ください。
書類不備を防ぐ!除籍謄本の確認ポイント
除籍謄本を取得した際、以下の点を確認してください。
①氏名や続柄に誤りがないか
記載された氏名や続柄に誤りがあると、提出先で手続きが中断する可能性があります。特に、旧字体や特殊な漢字の使用には注意が必要です。例えば、「髙橋」と「高橋」のような微妙な違いでも問題になる場合があります。
②記載内容の不足がないか
被相続人の出生から死亡までの戸籍がすべて揃っているかを確認しましょう。特に転籍が多い場合、必要な情報が抜けていることがあります。この場合、過去の本籍地を辿って追加で取得する必要があります。
③情報の一貫性を確認する
他の戸籍謄本や改製原戸籍と比較して、情報に矛盾がないか確認しましょう。例えば、結婚日や死亡日が異なる記載になっている場合、役所に訂正を求めることが必要です。
遺産分割協議書作成時の除籍謄本の役割
遺産分割協議書を作成する際、全ての相続人が参加する必要があります。ここで除籍謄本が果たす役割は、相続人の範囲を明確にし、協議書に記載されるべき人物を確定することです。
例えば、被相続人に婚外子がいるケースでは、除籍謄本からその事実が判明します。この場合、その隠し子も相続人として加える必要があるため、除籍謄本の確認が欠かせません。また、除籍謄本をもとに作成した遺産分割協議書を金融機関や法務局に提出することで、相続手続きがスムーズに進みます。
他の戸籍関連書類との違いと使い分け
除籍謄本以外にも、相続手続きでは以下の書類が使用されます。それぞれの役割と使い分けを解説します。
①戸籍謄本(現在戸籍)
現在の家族構成を示す書類です。現在戸籍は、相続人が現時点で生存していることを証明します。たとえば、相続人が配偶者と子ども2人の場合、戸籍謄本でそれを確認できます。
②改製原戸籍
法改正などで変更された旧戸籍の内容を記録したものです。改製原戸籍は、除籍謄本では確認できない過去の情報を補完する役割を果たします。たとえば、戦後の改製により失われた情報が必要な場合、改製原戸籍を参照します。
③戸籍の附票
本籍地の履歴が記録された書類です。本籍地が移動している場合、戸籍の附票を利用することで過去の本籍地を特定し、必要な除籍謄本を順に取得することができます。
これらの書類を適切に使い分けることで、相続手続きが円滑に進みます。特に、相続人が複数の本籍地に関わる場合、これらの書類の正確な把握が鍵となります。
専門家の役割とサポートの重要性
行政書士の役割|除籍謄本取得から相続手続きまで
行政書士は、相続手続き全般のサポートを行う専門家です。特に、除籍謄本の取得や戸籍関連書類の収集を代行することが可能です。こうした書類の準備は、相続手続きの中でも時間と労力がかかる部分です。そのため、行政書士のサポートを受けることで、大幅に負担を軽減できます。
例えば、被相続人が転籍を繰り返している場合、それぞれの本籍地に問い合わせを行う必要があります。これを個人で進めるのは手間がかかるうえ、必要な書類を見落としてしまうリスクもあります。しかし、行政書士は書類の全体像を把握し、効率的に手続きを進められるノウハウを持っています。
さらに、行政書士は遺産分割協議書の作成や役所とのやり取りを代行します。これにより、相続人が安心して手続きに臨むことができるのです。例えば、遺産分割協議書を作成する際、法律に沿った記載が求められるため、専門家のサポートは不可欠です。これを適切に行わないと、後々のトラブルにつながる可能性があります。
日本相続知財センター札幌のサポート内容
日本相続知財センター札幌は、相続手続き全般をトータルサポートする専門機関です。このセンターでは、初回の相談を無料で受け付けており、初めて相続手続きを行う方でも安心して相談できます。
特に、除籍謄本を含む戸籍関連書類の収集をスムーズに進めるためのアドバイスや、必要に応じて代行サービスを提供しています。また、遺産分割協議書の作成や、金融機関での相続手続きの支援も行っています。
たとえば、「どこから手をつければいいかわからない」といった方に対して、相続手続きの流れや必要な書類の一覧を分かりやすく説明します。これにより、書類の不足や手続きミスを防ぐことができます。
さらに、税理士や司法書士と連携しているため、相続税の申告や不動産の名義変更といった複雑な手続きもワンストップで対応可能です。相続手続きにかかるストレスを最小限に抑え、効率的に解決するための体制が整っています。
初回無料相談では、専門スタッフが親身に話を聞き、現状に合った最適なサポートプランを提案してくれます。たとえば、「除籍謄本の取得が間に合わない」という場合でも、解決に向けた具体的な手順を示してくれるため、不安が軽減されます。
このように、専門家のサポートを受けることで、相続手続きがスムーズに進むだけでなく、将来のトラブルを防ぐことが可能です。
よくある質問(Q&A)
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・違いの概要
除籍謄本は、戸籍に記録されていたすべての人が死亡や転籍などで戸籍から抜けた後の記録をまとめた文書です。一方、改製原戸籍は、法改正や戸籍様式の変更により新しく作られる前の旧戸籍の内容を記録したものです。・具体例
例えば、昭和から平成にかけて戸籍制度が改正された際に、新しい戸籍が作成されました。この際、改製原戸籍として旧戸籍の情報が保管されることになりました。一方、除籍謄本は、戸籍に記載されている全員が戸籍を抜けた時点で作成されるものです。・活用シーンの違い
相続手続きでは、除籍謄本を使って被相続人の出生から死亡までの戸籍を追跡します。一方、改製原戸籍は、古い婚姻記録や離婚記録などが必要な場合に使用されます。これらを組み合わせることで、相続人全員を確定できます。 -
①窓口申請の場合
窓口で申請する場合、多くの自治体では即日発行が可能です。ただし、混雑状況によっては数時間かかることもあります。②郵送申請の場合
郵送での申請では、通常1~2週間ほどかかります。郵送の際、返信用封筒を同封する必要があり、この手配に不備があるとさらに時間がかかることがあります。③オンライン申請の場合
一部の自治体ではオンライン申請が可能で、この場合、発行までの期間は郵送申請と同程度です。ただし、オンラインでの申請にはマイナンバーカードが必要な場合があります。④注意点
急いで取得する必要がある場合は、窓口申請が最も速い方法です。遠方の自治体であれば、専門家に代理取得を依頼することで、時間を節約できます。 -
・原因となる状況
①本籍地が不明な場合
被相続人が過去に転籍を繰り返していると、本籍地を特定するのが難しくなる場合があります。
②記録が古すぎる場合
明治時代の戸籍やそれ以前の情報は、すでに廃棄されている可能性があります。この場合、当時の書類を補完する方法が必要です。
③申請者が取得資格を満たしていない場合
除籍謄本は、被相続人の法定相続人やその代理人しか取得できません。この資格を証明する書類が不足していると、発行を断られることがあります。・対処法
本籍地が不明な場合は「戸籍の附票」を取得し、履歴をたどります。 古い記録が必要な場合は、国立公文書館などの公的機関を利用します。
資格を証明する書類が不足している場合は、現在戸籍や改製原戸籍を用意して再申請します。 -
・使用例
①不動産の権利関係を確認する際
除籍謄本は、不動産の相続登記や所有権の確認で使用されます。例えば、先祖名義の土地を相続する場合、過去の所有者を確認するために役立ちます。
②家系図の作成
家族の歴史を明確にするため、除籍謄本を取得して家系図を作成するケースもあります。特に、親族の生年月日や婚姻状況を把握するために有用です。
③年金や保険の手続き
年金受給資格の確認や保険金請求手続きでも、除籍謄本が求められることがあります。 -
①再発行の手順
除籍謄本を紛失した場合でも、再発行は可能です。以下の手順で進めます。
1.本籍地の自治体に連絡し、再発行を依頼します。
2.必要書類(本人確認書類や申請書)を準備します。
3.窓口、郵送、またはオンライン申請のいずれかの方法で申請します。②紛失を防ぐ方法
・デジタル化する
取得後にスキャンしてデジタルデータとして保管しておくことで、紛失のリスクを軽減できます。
・複数部取得する
一度に複数部を取得しておけば、紛失時のリスクを回避できます。
この記事の監修者
一般社団法人 日本相続知財センター札幌
常務理事 成田 幹
2012年行政書士登録。2014年日本相続知財センター札幌 常務理事に就任。遺言・任意後見・家族信託などのカウンセリングと提案には実績と定評がある。また、法人経営者の相続・事業承継支援の経験も豊富で、家族関係に配慮した提案が好評。