死後事務委任契約とは?内容・手続き・費用を徹底解説!

近年、核家族化や少子高齢化が進む中、「死後事務委任契約」が注目されています。この契約は、自分が亡くなった後の手続きや事務作業を、信頼できる第三者に生前から委任するものです。死亡届の提出や公共料金の解約、遺品整理など、遺族にとって負担となりやすい作業をスムーズに進めるための手段として、多くの方に利用されています。

しかし、「どのような手続きが依頼できるのか」「費用はどれくらいかかるのか」といった疑問を持つ方も少なくありません。本記事では、死後事務委任契約の基本的な仕組みや手続き、メリット・デメリットについて、初心者にもわかりやすく解説します。また、契約を成功させるためのポイントや専門家の役割についても詳しく取り上げています。

死後事務委任契約とは?その概要と必要性

死後事務委任契約の基本的な内容

死後事務委任契約とは、亡くなった後に必要となる各種手続きや事務作業を、あらかじめ第三者に委任しておくための契約です。多くの人は、亡くなった後の手続きがどれほど多岐にわたるか想像しにくいものです。しかし、実際には死亡届の提出、公共料金や携帯電話契約の解約、遺品整理、さらには年金や保険の手続きなどが必要になります。これらの手続きは、残された家族にとって大きな負担となる場合があります。

特に、独身の方や子どもがいない方、また家族と疎遠な方にとって、この契約は重要な役割を果たします。また、家族がいても事務手続きに詳しくない場合や、負担を軽減したいと考える場合にも有効です。死後事務委任契約を活用することで、自分の希望を確実に実現し、遺族の精神的負担を軽くすることができます。

死後事務委任契約が必要とされる方

①身寄りがなく、頼れる人がいない方
例えば相続人が居ないようないわゆる「おひとりさま」など、身寄りがなく、死後のことを頼める人がいない場合、自治体などがやってくれることは限られています。このような場合は、死後事務を信頼できる人や専門家に依頼する必要があります。

②家族や親族に負担をかけたくない方
周りに家族や親族がいる場合であっても、家族や親族の負担となるのを避けたいというケースが該当します。

③親族と疎遠な方
葬儀や行政への届出、遺品の整理などの死後事務を行うには手間や時間がかかります。そのようなことを疎遠な親族に頼むことは難しいでしょう。

④家族と希望が異なる人
宗派が家族と異なる場合や、樹木葬にしてほしい、散骨してほしいなど埋葬に関する個別の希望がある場合は、自身の希望をかなえる選択肢として死後事務を委任することが考えられます。

⑤内縁関係や事実婚の人
死後事務を行うにあたって、内縁関係や事実婚の人たちは戸籍上のつながりがないことを理由に手続きを断られることもあります。スムーズに手続きを進めるためにもあらかじめ死後事務委任契約を締結するなどして準備をしておく必要があるでしょう。

他の契約(遺言書・任意後見契約)との違い

死後事務委任契約は、他の契約と併用することで、より包括的な生前準備が可能です。遺言書は主に財産の分配を目的とし、相続人への遺産の配分を記載します。一方、任意後見契約は、自身の判断能力が低下した場合に備えて、信頼できる第三者に生活や医療に関する支援を依頼するものです。

死後事務委任契約は、これらとは異なり、死亡後の具体的な事務作業に焦点を当てています。たとえば、死亡届の提出や家賃契約の解約、葬儀に関する事務手続きなど、実務的な内容を含む点が特徴です。これらの契約を併用することで、生前と死後の両方を見据えた安心感を得られるのが大きな利点です。

死後事務委任契約を締結する時期・タイミング

死後事務委任契約は、意思能力があるうちに、早めに契約をすることをお勧めします。意思能力が低下したり認知症になってからでらでは、死後事務委任契約を締結することが難しくなるからです。

一般的には、40代~50代から死後事務委任契約を考え始める方が多いようです。

死後事務委任契約の手続きと流れ

契約前に準備すべきこと

契約をスムーズに進めるためには、事前準備が重要です。まず、自分が亡くなった後にどのような手続きが必要になるかを具体的にリストアップしましょう。たとえば、死亡届の提出、公共料金や通信契約の解約、さらには遺品整理や住居の明け渡しなどが一般的な項目です。

また、誰に依頼するかも重要なポイントです。信頼できる親族や友人がいる場合は相談するのがよいですが、専門家に依頼することで、より確実かつ円滑に進めることが可能です。専門家に依頼する場合、日本相続知財センター札幌のような地域の相続サポート機関などを選択肢に入れるとよいでしょう。

契約締結の手順と必要書類

契約締結には、いくつかのステップがあります。まず、依頼内容を明確にし、それを文書化します。次に、公証役場で公正証書を作成する場合は、契約内容を説明する必要があります。このとき、必要書類として以下が一般的に求められます:

  • 本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカード)
  • 印鑑証明書

契約締結後は、契約書を大切に保管し、必要に応じて家族や信頼できる人にその存在を知らせておくことが重要です。

公正証書で作成するメリット

公正証書を作成すると、契約内容が第三者によって確認されるため、法的な効力が強まります。これにより、契約が無効となるリスクを大幅に減らせます。また、公証役場で作成されるため、契約書の保管も安心です。特に、遺族間でのトラブルを防ぐ上でも有効な手段といえます。

さらに、公正証書は公証人という法律の専門家によって確認・認証されるため、契約内容に法的な瑕疵がないことが保証されます。これにより、遺族や第三者が契約内容を疑問視する場面でも、公正証書の存在が説得力を持ちます。

死後事務委任契約でできること・できないこと

死後事務委任契約でできること

①葬儀・埋葬などに関する手続き
依頼者が亡くなり、最初に生じる重要な手続きが葬儀・埋葬に関する手続です。

  • 入院先などからの遺体の引き取り
  • 葬儀や火葬に関する手続き
  • 埋葬、お墓に関する手続き
  • 供養に関する手続き

② 行政に関する手続の対応
行政手続きに関する主なものとしては、以下の4つがあります。

  • 死亡届の提出
  • 健康保険証、介護保険証などの返還
  • 年金事務所への連絡
  • 住民税や固定資産税などの税金の納付

③契約関係やお金に関する手続き
病院や介護施設に関する費用の清算や公共料金の精算、解約手続きがあります。また、アパートやマンションなど不動産を借りていた場合には賃貸借契約を解除し、鍵の返却や原状回復を行ったうえで不動産の明け渡しをするということも死後事務委任契約の内容とすることができます。

④遺品整理およびデジタル遺品の整理
遺品の整理、片づけはほとんどの人に生じる重要な業務です。これは一般的には死後事務の受任者が業者などに頼んで行います。また、最近ではSNSなどのアカウントの削除やパソコンやスマホに入った個人情報などの記録を抹消するといったデジタル遺品の整理も重要です。

⑤ペットの世話
自身が亡くなったあとに残されてしまうペットについて、面倒を見てくれる人や施設などへの引き渡しを死後事務委任契約の内容とすることができます。

死後事務委任契約でできないこと

財産の分配や身分関係に関する事項については契約内容にすることができません。すなわち、財産の分配は、遺言や遺産分割協議で行うため、死後事務委任契約では指定できません。また、認知や遺言執行者の指定など身分関係に関する事項については、遺言書で指定しておく必要があります。

専門家の役割と選び方

日本相続知財センター札幌の役割

日本相続知財センター札幌は、死後事務委任契約に関する包括的なサービスを提供しています。初回相談は無料です。このセンターでは、依頼者の希望を詳しくヒアリングし、それを基に適切な契約内容を設計します。また、契約内容を明確化し、公正証書で作成するためのサポートも行っています。

さらに、依頼者が亡くなった後の手続きがスムーズに進むよう、死後事務の受任者となることが可能です。地域密着型のサービスを提供しているため、地元での迅速な対応が可能です。専門家として、信頼性と実績を兼ね備えたサービスが強みといえます。

各専門業者の役割

死後事務委任契約においては、複数の専門業者が関わることが一般的です。たとえば、遺品整理業者や葬儀社は、具体的な現場対応を行う役割を果たします。遺品整理業者は、部屋の片付けや不要品の処分を迅速かつ丁寧に進める専門家です。一方、葬儀社は、葬儀に関する事務手続きや実施を円滑に進めるためのプロフェッショナルとして活躍します。

これらの専門家を適切に組み合わせることで、死後事務委任契約の実効性が大幅に向上します。選定時には、それぞれの業者の実績や評判を確認することが大切です。

よくある質問(Q&A)

  • 死後事務委任契約の費用は、依頼内容や契約の形式によって異なります。一般的には以下の費用が発生します。

    1.契約作成費用
    契約書を作成する費用は、日本相続知財センター札幌に依頼した場合、作成サポート報酬として、12万円~の報酬がかかります。

    2.公正証書作成費用
    公証役場で公正証書を作成する場合、数万円の手数料が必要です。手数料は、契約内容のボリュームや金額に応じて変動します。

    3.実行費用
    契約に基づく事務作業の実行費用が別途かかる場合があります。例えば、遺品整理業者や葬儀社のサービスを利用する際の実費がこれに該当します。これは委任者が死後負担する費用で相続財産から支払うこととなります。

  • 死後事務委任契約で依頼できる内容には、いくつかの制限があります。基本的には、法律に違反しない範囲であれば幅広い業務を委任可能ですが、以下のような内容は対象外です。

    1.相続財産の分配
    相続財産の分配や管理は、死後事務委任契約の範囲外です。これらは遺言書や遺産分割協議で扱うべき事項です。

    2.法律に違反する内容
    例えば、不法行為に関わる依頼や、不正な利益を得る目的の手続きは認められません。

    一方で、以下のような事務作業は委任が可能です。

    ・役所での死亡届の提出
    ・葬儀埋葬などの手続き
    ・公共料金の解約
    ・遺品整理や部屋の片付け

    依頼する内容を明確にし、契約書に詳細を記載することが、契約のトラブルを防ぐ鍵です。

  • 公正証書を作成しない場合、契約の法的効力が弱まるリスクがあります。以下のような問題が発生する可能性があります。

    1.契約の有効性が問われる
    公正証書がない場合、契約が適切に作成されていないと見なされることがあり、トラブルに発展する可能性があります。

    2.証拠不足による紛争
    契約書が第三者による確認を経ていない場合、依頼者の意思や契約内容が不明確となり、遺族や関係者間で紛争が起こるリスクがあります。

    公正証書を作成することで、契約内容が公証人によって確認され、法的効力が高まります。公正証書を利用することは、契約の信頼性と安全性を確保するために非常に有効です。

  • 死後事務委任契約は、家族以外の人にも依頼できます。例えば、以下のような相手に依頼するケースがあります。

    1.信頼できる友人
    家族がいない場合や疎遠な場合、信頼できる友人に依頼する例があります。

    2.専門家や機関
    日本相続知財センター札幌のような専門家に依頼することで、手続きを専門的かつ迅速に進められます。依頼相手を選ぶ際には、信頼性や責任感が重要です。また、契約内容を具体的にし、定期的に進捗状況を確認する仕組みを取り入れることも大切です。

  • 死後事務委任契約を含む生前準備を進める際には、以下の点に注意することが必要です。

    1.契約内容を家族に共有する
    契約内容や依頼した相手を家族に伝えておくことで、死亡後の混乱を避けられます。家族が契約の存在を知らないと、手続きがスムーズに進まない可能性があります。

    2.専門家に相談する
    契約内容に不安がある場合は、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。特に、法的な観点や実行可能性について専門知識が必要です。

    3.ライフスタイルに合わせた定期的な見直し
    家族構成やライフスタイルが変化した場合、契約内容を見直すことが重要です。例えば、家族が増えた場合や依頼先が変更になった場合など、最新の状況に合わせて更新することを検討しましょう。

この記事の監修者

一般社団法人 一般社団法人日本相続知財センター札幌 常務理事 成田 幹

一般社団法人 日本相続知財センター札幌
常務理事 成田 幹

2012年行政書士登録。2014年日本相続知財センター札幌 常務理事に就任。遺言・任意後見・家族信託などのカウンセリングと提案には実績と定評がある。また、法人経営者の相続・事業承継支援の経験も豊富で、家族関係に配慮した提案が好評。

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