終活 50代から始める相続対策!後悔しないための初歩知識を解説。
50代を迎えたあたりから、人生の後半や定年後について考える方が増えてきます。もし自分に万が一のことがあっても、残された家族が困らないよう準備を整えるのが「終活」です。特に50代で始める終活は、将来に向けた心のゆとりだけでなく、家族間のトラブル防止や老後資金計画の見直しにも役立ちます。ここでは、50代ならではの終活の進め方や相続に関する基礎を、事例を交えながらわかりやすく説明していきます。
目次
50代で終活を始めるメリット
人生100年時代の背景と50代からの備え
近年は「人生100年時代」といわれるほど平均寿命が延びています。60代から定年を迎えたとしても、その後の人生は20年、30年と続きます。想像以上に長い期間を健康に、そして安心して暮らしていくためには、50代から計画を立てるのがとても大事です。
この時期に終活を始めると、子どもが独立している家庭も多いため、自分やパートナーの今後の生活に集中しやすくなります。早めに準備を進めることで、相続の手続きや老後資金に関する課題を整理する時間的な余裕を持てます。
50代で終活を始める意義と心構え
「終活」という言葉を聞くと、年配向けのイメージを持つ方もいますが、実は50代であれば体力的にも精神的にも余力があるため、大切な情報を整理しやすいです。遺言書を作成するかどうか、保有している財産をどのように配分したいか、介護が必要になったときは誰に頼りたいか、などを冷静に考えられます。
また、もし自分やパートナーが大きな病気や事故に巻き込まれてしまったときのリスクも想定できます。50代から終活に取り組む意義は、自分だけでなく家族を守るための安心材料を着々と整えるところにあります。何をどこまで準備するか、家族とどのように情報を共有するかを意識するとスムーズです。
50代から取り組む相続準備と生前整理
相続の基本:遺言書・家族信託・相続税の基礎知識
相続では、まず「財産を誰にどのように引き継ぐか」という点が最も大事です。
- 遺言書
法律的に有効と認められる形式で作成すれば、自分の希望どおりに財産を分配できます。公正証書遺言を選ぶと、専門家のチェックを受けつつ作成するため、形式不備などのリスクが低くなります。 - 家族信託
自分の財産管理を信頼できる家族に任せる制度です。将来、判断能力が衰えてしまう前に、預貯金や不動産などの財産をどのように運用していくか指示できます。 - 相続税の基礎
遺産の総額が基礎控除額を超えると相続税がかかります。基礎控除額は3,000万円+法定相続人の人数×600万円が計算の目安です。50代のうちに自分の財産額をざっくり把握し、どのくらい相続税がかかるか試算すると、早めの節税対策がとりやすくなります。
公正証書遺言については、「公正証書遺言とは?メリット・作成手順を解説」記事、家族信託については、「はじめての家族信託〜メリットや注意点を詳しく解説!」記事にて詳しく解説していますのでご参照ください。
生前整理で押さえておきたい具体的ステップ
生前整理とは、自分の持ち物や財産を生きているうちに整理し、今後の管理をしやすくする取り組みです。50代で取りかかると、以下のようなメリットがあります。
- 財産目録の作成
預貯金や有価証券、保険、土地や建物など、所有する資産を一覧にします。証券会社の口座が複数あるなら、それぞれをわかりやすくまとめておきましょう。 - 負債の確認
住宅ローンが残っていないか、カードローンの残高はどうなっているか、利率が高い借入れはないかなどを再確認すると、家計の見直しにも役立ちます。 - 重要書類の一元保管
年金手帳や保険証券など、紛失すると手続きが面倒な書類は一か所にまとめます。エンディングノートを使うと、保管場所もわかりやすくなります。
トラブル防止につながる事前のコミュニケーション
相続や生前整理で意外と重要なのが、家族との話し合いです。自分の財産をどこまで公開するかは人によって違いますが、何も知らないままだと、いざ相続が発生したときに家族が混乱しやすいです。50代のうちに「どの口座にまとまった預貯金がある」「土地はどのくらいの評価額か」「保険は誰が受取人になっているか」などを少しずつ共有すると、のちに起こりがちなトラブルを減らせます。
コミュニケーションのタイミングは定年が見え始めた頃や、子どもが結婚した際など家族が集まりやすい時期を選ぶと話が進みやすいです。
専門家のサポートと日本相続知財センター札幌の役割
専門家に相談するメリットと費用の目安
相続や生前整理は自分だけで進められる部分も多いですが、専門家に頼るとスムーズに進む事例が多いです。たとえば、司法書士や行政書士、税理士などに相談すると、以下のメリットがあります。
- 書類作成の正確性
遺言書や家族信託の契約書などは法律に沿った形式が求められます。専門家にチェックを受けると、効力が失われるようなミスを防ぎやすいです。 - 相続税対策の提案
受け継ぐ財産が多い場合、相続税の計算や納税手続きを自力で行うのは難しいと感じることがあります。税理士がアドバイスすれば、納める税金が少しでも軽くなる方法を検討しやすいです。 - 相談費用の目安
公正証書遺言を作成する場合の公証役場の手数料や、家族信託契約の公正証書費用、さらに専門家への報酬もかかります。一般的には数万円から数十万円の間で変動しますが、財産や依頼内容で大きく違うため、複数の事務所に見積りを取って検討する方法が安心です。
日本相続知財センター札幌が担うサポート内容
日本相続知財センター札幌は、相続や終活に関するさまざまな相談を一括で受け付けてくれる専門機関です。遺言書作成や家族信託、相続税に関する相談をまとめて行える体制を整えています。
特に「どの専門家に何を頼めばいいかよくわからない」と感じる方にとっては、ワンストップで手続きを進められる点が大きな利点です。複雑な相続案件や、生前整理を計画的に実施したい場合も、札幌地域に根ざした情報を持つ専門家とつながれるため安心感があります。
さらに、家族会議の進め方やエンディングノートの書き方など、ソフト面のサポートも期待できます。初回の相談時に全体的なヒアリングを行い、必要に応じて提携先の司法書士や税理士と連携しながらサポートする流れが一般的です。
50代の終活を進めるうえでの事例と注意点
よくあるトラブル事例と解決策
50代で終活を考える方の中には、すでに親の相続を経験しているケースもあります。その際のトラブルとして挙げられるのが、以下のようなものです。
- 遺言書の内容が兄弟で分かりづらい
親が書いた遺言書が手書きで不備が多い場合、法的に効力がないと判断されることがあります。公正証書遺言を選ぶと、形式の不備リスクが下がるという解決策が見込めます。 - 財産の所在が不明で遺産分割協議が難航
どの銀行に口座があるか、土地や建物がどの名義になっているかを把握していないと、相続人が情報探しに時間をかけることになります。エンディングノートや財産目録で資産をひとまとめにしておくとスムーズです。
家族間で理解を深めるためのポイント
家族が複数人いる場合、相続内容や終活の方法は全員が納得した形を目指すことが重要です。ただし、現実には意見が一致しないこともしばしばあります。
- 早めの共有
遺言書やエンディングノートを作る前に、「これから終活を進めたい」「遺言書を公正証書で作ろうと思う」など、方針だけでも家族と共有すると理解が得やすいです。 - 話し合いの場を定期的に設定
高齢の親世代を含む場合は、親の体調を見ながら少しずつ話し合いを重ねるとトラブルを防ぎやすくなります。
老後資金を安定させる計画の立て方
終活を考える上では、老後資金も見逃せないポイントです。50代であれば、退職金の目安や年金の試算が具体的にわかるようになります。
- 年金と退職金の把握
会社員の場合、60〜65歳で一度退職を迎えるケースが多いです。その後の再就職や年金受給開始年齢を踏まえ、数年は収入が途絶えるタイミングが生じることもあります。家計を複数パターンで試算すると、想定外の出費が見えやすくなります。 - 医療や介護への備え
50代後半からは持病や生活習慣病が増えるリスクが上がるため、医療費や介護費用も想定すると安心です。
遺言書やエンディングノートの実践的な活用例
実際に活用している方の例を挙げると、イメージがわきやすいです。
- エンディングノートで趣味や思い出を記録
50代で定年を迎える方も多いですが、退職後に始めた趣味や旅行での思い出をノートに書き加えると、残された家族にとって温かいメッセージにもなります。 - 遺言書と保険の受取人を整合させる
「生命保険の受取人に長男を指定しているが、財産分割は等分を希望する」などのズレがある場合、トラブルのもとになります。どの保険がどの名義になっているか、受取人の指定は誰になっているかを整理しておくと混乱しにくいです。
よくある質問(Q&A)
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「定年が近いから終活なんて遅いのでは」と心配する方は多いです。しかし、実際は40代で介護が必要になったり、若い世代で重い病気にかかることもありえます。50代からのスタートでも決して遅いことはありません。体力と時間のあるうちに取り組むと、後から慌てなくて済みます。
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自筆証書遺言という方法であれば、自分で紙とペンを用意して書くことも可能です。ただし、細かい書式を守らないと無効になるリスクがあります。公正証書遺言なら、公証人が形式をチェックしてくれるため安心です。費用はかかりますが、失敗を防ぎたい場合は専門家を交えた公正証書をおすすめします。
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自宅の不用品を整理して処分業者に依頼するときや、家財の一部を買い取ってもらうときの費用は、依頼先や物量によって変わります。リサイクルショップを活用すれば多少の収入につながるケースもあります。生前整理にお金をかけるかどうかは人によりますが、50代の段階で少しずつ進めれば無理なく管理できることが多いです。
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同居家族はもちろん、遠方で暮らす子どもや兄弟姉妹ともできるだけ早めに共有するとスムーズです。たとえば、定年直前に食事会を開いたり、子どもが結婚したタイミングなど人生の節目で伝える方が多いです。「あとで話すつもりで結局言い出せなかった」というケースも少なくないので、早めを心がけるのがポイントです。
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相続税の計算、遺言書作成、家族信託など幅広い相談が可能です。地域の事情に詳しい担当者がヒアリングを行い、必要に応じて司法書士や税理士と連携しながら対応する体制を整えています。もし「何から手をつければいいかわからない」という状態なら、まずは日本相続知財センター札幌に問い合わせして全体像を聞いてみることをおすすめします。
この記事の監修者

一般社団法人 日本相続知財センター札幌
常務理事 成田 幹
2012年行政書士登録。2014年日本相続知財センター札幌 常務理事に就任。遺言・任意後見・家族信託などのカウンセリングと提案には実績と定評がある。また、法人経営者の相続・事業承継支援の経験も豊富で、家族関係に配慮した提案が好評。