公正証書遺言とは?メリット・作成手順を解説

公正証書遺言は、遺言書の中でも法的に強い効力を持つ形式です。この記事では、公正証書遺言の基本から作成手順、費用、効力、そして専門家の役割まで詳しく解説します。相続に関する知識が浅い方でも安心して理解できる内容です。

公正証書遺言とは?

公正証書遺言の概要

公正証書遺言とは、公証役場で公証人の立ち会いのもとで作成される遺言書のことです。この遺言書は、公証人が遺言者の意思を確認し、適切な手続きを踏むことによって、法的に有効な文書として成立します。公証人は、遺言者が自らの意思で遺言を作成していることを確認し、内容が法律に適合していることを確かめます。このため、公正証書遺言は信頼性が高く、相続において重要な役割を果たします。

公正証書遺言のメリット

公正証書遺言の最大のメリットは、その法的安定性が非常に高い点にあります。公証人が内容を確認し、適切な形式で作成されるため、形式や内容に不備が生じにくく、遺言が無効となるリスクが低いです。また、遺言書の内容が外部に漏れにくいという点も重要です。公正証書遺言は、公証役場で厳重に保管されるため、遺言書が紛失したり、偽造されたりするリスクが低減されます。さらに、公証人が遺言者の意思を確認するため、遺言の内容が争われにくく、相続がスムーズに進むことが期待できます。

公正証書遺言のデメリット

一方で、公正証書遺言にはいくつかのデメリットも存在します。まず、作成には費用がかかります。公証役場での手続きに対する手数料や、公証人の報酬が必要となります。また、公証役場に出向く必要があり、証人が2名必要です。しかし、これらの手間や費用を考慮しても、確実性の高い遺言書を作成する価値があります。

公正証書遺言の作成手順

公証役場の選び方

公証役場は全国に存在しますが、遺言者の自宅や職場から通いやすい場所を選ぶと良いでしょう。公証役場は、平日の営業時間内に手続きを行うため、事前に予約を取ることがスムーズな手続きの鍵となります。予約をすることで、待ち時間を減らし、迅速に手続きを進めることができます。

必要書類の準備

公正証書遺言を作成するためには、以下の書類が必要です。

  • 本人確認書類(運転免許証、パスポートなどの写真付き身分証明書)
  • 遺言内容に関する資料(財産目録、遺産分割の希望など)
  • 必要に応じて印鑑証明書や戸籍謄本、住民票など

これらの書類を事前に準備しておくことで、手続きがスムーズに進みます。また、遺言内容について事前にしっかりと検討し、具体的な希望を明確にしておくことが重要です。

作成の流れ

  1. 公証役場に予約を取る
  2. 必要書類を準備し、公証人との相談を行う
  3. 公証人が遺言書を作成し、遺言者と証人が署名・押印する

公正証書遺言の作成は、このような流れで進みます。遺言者は、公証人との相談を通じて、遺言内容を具体的に決定します。公証人は遺言者の意思を尊重しながら、法的に適切な遺言書を作成します。最後に、遺言者と証人が署名・押印することで、遺言書が正式に成立します。

公正証書遺言の保管方法

作成された公正証書遺言は、公証役場で厳重に保管されます。遺言者が亡くなった際には、相続人が公証役場で遺言書の内容を確認し、相続手続きを進めることができます。公正証書遺言は、遺言者の意思を確実に実現するための重要な手段となります。

公正証書遺言の費用と期間

公正証書遺言の費用

公正証書遺言の作成には、遺産の価値に応じて費用がかかります。遺産の評価額によって費用は変動し、一般的には数万円から数十万円程度の費用がかかります。具体的な費用については、公証役場での相談時に確認することが重要です。また、公証人の報酬や手数料も含まれるため、総額を把握しておくことが必要です。

作成にかかる期間

公正証書遺言の作成には、通常1か月程度の期間が必要です。書類の準備や公証人との打ち合わせがスムーズに進めば、より短期間で作成することも可能です。公証人との打ち合わせを事前にしっかり行い、必要書類を整えておくことで、手続きの遅延を防ぐことができます。

公正証書遺言の効力と無効になるケース

公正証書遺言の法的効力

公正証書遺言は、公証人が確認するため、法的安定性が非常に高いです。相続人が遺言書の内容を争うことが難しく、遺産分割がスムーズに進みます。公証人が関与することで、遺言の内容が明確であり、相続におけるトラブルを未然に防ぐことができます。

無効になる原因

公正証書遺言が無効になる原因としては、遺言者が遺言作成時に判断能力を欠いていた場合や、証人が適切でない場合などがあります。また、遺言内容が法律に反している場合や、必要な手続きを怠った場合も無効となる可能性があります。

無効を防ぐためのポイント

無効を防ぐためには、遺言作成前に公証人と十分に相談し、必要な準備を行うことが大切です。また、定期的に遺言書の内容を見直し、必要に応じて変更や補足を行うことも有効です。遺言者の意思が明確であり、法律に則った内容であることを確認することが重要です。

公正証書遺言の変更や撤回

公正証書遺言は、遺言者が生存中であれば、いつでも変更や撤回が可能です。変更や撤回を希望する場合は、公証役場に相談し、適切な手続きを踏むことが必要です。遺言内容が変更された場合、新たな公正証書遺言を作成することが推奨されます。

専門家の役割

公証人の役割

公証人は、公正証書遺言の作成をサポートします。具体的には、遺言の内容が法律に適合しているかを確認し、証人の立ち会いを手配し、適切な手続きを進めます。公証人は遺言者の意思を尊重しながら、法的に有効な遺言書を作成するための重要な役割を果たします。

日本相続知財センター札幌の役割

日本相続知財センター札幌は、相続に関する相談を受け付け、遺言書の作成をサポートします。専門的な知識と経験を持つスタッフが、個別の状況に応じた最適なアドバイスを提供し、相続問題の解決を支援します。具体的には、遺産分割のアドバイスや遺言執行者への就任、遺言書の作成サポートなど、多岐にわたるサービスを提供しています。

よくある質問(Q&A)

  • ・メリット:
    – 法的効力が高い: 公証人が内容を確認するため、遺言書が無効になるリスクが低いです。
    – 争われにくい: 遺言書の内容が公証人によって確認されているため、相続人間での争いが少ないです。
    – 外部に漏れにくい: 公証役場で保管されるため、遺言書が紛失したり偽造されたりするリスクが低いです。

    ・デメリット:
    – 費用がかかる: 公証役場での手続きには手数料がかかります。
    – 証人が必要: 作成時に2名の証人が必要です。

  • 公正証書遺言は、公証人が関与して作成されるため、法的安定性が高いです。一方、自筆証書遺言は、自分で書くため費用がかからず、手軽に作成できますが、形式に不備があると無効になるリスクが高いです。また、自筆証書遺言は、保管場所や保管方法に注意が必要であり、紛失や偽造のリスクがあります。

  • 遺言執行者は、遺言書の内容を実行する責任者です。遺産分割や財産の移転手続きを行い、遺言者の意志を実現します。具体的には、遺産の管理、負債の整理、相続税の申告、財産の分配など、多岐にわたる業務を担当します。遺言執行者を選定する際は、信頼できる人物や団体を選ぶことが重要です。

  • 公正証書遺言の手数料は、遺産の評価額に応じて異なります。一般的には数万円から数十万円程度かかります。具体的な費用については、公証役場で確認することが必要です。また、遺産の内容や複雑さによっても費用が変動するため、事前に確認することをおすすめします。

  • はい、公正証書遺言は遺言者が生存中であれば、いつでも撤回できます。撤回を希望する場合は、公証役場で適切な手続きを行うことが必要です。撤回の際には、一部を撤回し新たな遺言書を作成する場合は、前回の遺言書と最新の遺言書の2冊が残ります。一方、全部を撤回し、新たな遺言書を作成する場合は、前回の遺言書は無効となります。遺言者の意思を正確に反映するため、適切な方法で撤回や変更を行うことが重要です。

この記事の監修者

一般社団法人 一般社団法人日本相続知財センター札幌 常務理事 成田 幹

一般社団法人 日本相続知財センター札幌
常務理事 成田 幹

2012年行政書士登録。2014年日本相続知財センター札幌 常務理事に就任。遺言・任意後見・家族信託などのカウンセリングと提案には実績と定評がある。また、法人経営者の相続・事業承継支援の経験も豊富で、家族関係に配慮した提案が好評。

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