おひとりさまが知っておきたい終活の心得を徹底解説!
独身で身寄りがない方にとって、「もしものとき」の準備はとても大切です。誰に相談すればよいのか分からない、あるいは相続問題や財産管理で苦労しそう……と心配する方も多いようです。ここでは「終活 おひとりさま」に焦点を当て、遺言書やエンディングノート、専門家への相談方法まで幅広くまとめています。理解しやすい言葉を心がけていますので、「まだ何も準備していない」という場合でも安心です。ここで得た情報を参考に、未来への不安を少しずつ取り除いていきましょう。
目次
おひとりさまの終活とは?その意味と背景
なぜ独身者に終活が必要か
独身で身寄りがない方が増えていると言われる中、自分一人で老後を迎える人も少なくありません。生前のうちに葬儀や相続、財産の管理方法などを整理するのが「終活」です。とくにおひとりさまの場合、亡くなった後に対応してくれる家族がいないため、生前に情報をまとめておくかどうかで大きく変わります。本人しか知らない口座情報や重要書類、契約内容が散在していると、手続きが進まず、そのまま銀行口座が凍結されるケースもあるのです。
また、残された財産の行き先をはっきり示していないと、遠い親族が突然相続権を主張したり、財産を管理する人が見つからなかったりする可能性があります。これから先の暮らしを落ち着いて続けるためにも、早めに終活を意識し、必要な準備に取りかかることが大切です。
高齢化社会で増えるおひとりさま
日本では高齢者人口が増え、独身のまま老後を迎える人も珍しくなくなりました。総務省のデータを見ると、日本では高齢者人口が増え続けており、2040年、単独世帯の割合は約40%に達すると予測されています。独身のまま老後を迎える人も珍しくなく、昨今、「おひとりさま」という言葉がより身近に感じるようになりました。
引用元:総務省
少子高齢化が進むことで、「友人も家族もいない」「頼れる人が少ない」といった状況に陥るリスクも高まっています。身元引受人の不在や孤独死に対する不安を感じる方が増えているのは、社会全体の変化と大きく関係していると言われています。
行政サービスや専門家のサポートを上手に利用すれば、自分で抱え込まずに済む部分も増えています。逆に、利用しないままだと突然の事態に誰も気づけず、結果として大きな問題につながるかもしれません。時代に合わせた選択をするためにも、あらかじめ知識を身に付けておきましょう。
おひとりさまが押さえるべき準備
遺言書の活用
遺言書は、ご自身の財産を誰にどのように残したいかを法的に示す重要な文書です。特におひとりさまの場合、亡くなったあとに対応してくれる家族がいないケースも想定されます。さらに、相続人がいないおひとりさまの場合、遺言書を遺さないと、財産が国庫に帰属してしまい、ご本人の意思が反映されません。そして、遺言は公正証書遺言という形式を選ぶと、公的証明力があるため、不備で無効になりにくく安心です。遺言書を作成することで、親族や知人との不要なトラブルを避けやすくなり、あなたの希望に沿った形で財産や想いを引き継ぐことができます。
公正証書遺言については、「公正証書遺言とは?メリット・作成手順を解説」にて詳しく解説していますのでご参照ください。
財産管理委任契約と任意後見契約の活用
将来、認知症や病気で判断能力が低下したときに備える手段として「財産管理委任契約」と「任意後見契約」が挙げられます。
- 財産管理委任契約
判断能力がまだしっかりしているうちに、信頼できる人物(家族や専門家など)に財産の管理を任せる契約です。入院や介護が必要になった際でも、銀行の手続きや支払いなどを円滑に進めてもらえます。 - 任意後見契約
将来自分の判断能力が失われたときのために、あらかじめ後見人を指定しておく制度です。財産管理だけでなく、身の回りの事務もサポートしてもらえる点が特徴です。公正証書で契約を結ぶので安心感が高く、おひとりさまの生活を幅広く支える仕組みとして注目されています。
死後事務委任契約の活用
死後事務委任契約とは、自分が死亡した後の手続きを第三者に委任する契約のことです。葬儀や火葬、役所への死亡届の提出、各種契約の解約など、多岐にわたる死後の事務を任せられます。
おひとりさまの場合、身寄りがいないまま亡くなると、誰が後片付けをするのか分からなくなるケースがあります。しかし、死後事務委任契約を結んでおけば、事前に決めた人がスムーズに対応してくれるため、「もしもの時」に備えやすくなるのです。
死後事務委任契約については、「死後事務委任契約とは?内容・手続き・費用を徹底解説!」にて詳しく解説していますのでご参照ください。
専門家の役割と日本相続知財センター札幌のサポート
相続のプロができること
法律や税金のことは日常ではあまり触れませんが、相続となると一気に難易度が上がります。そんなとき頼りになるのが、相続のプロフェッショナルです。例えば弁護士や税理士、司法書士などが相談先として挙げられます。彼らは遺言書作成のアドバイスや、相続税の試算、名義変更の手続きなどをサポートしてくれます。
おひとりさまにとっては、誰かに管理を任せないと進めにくい書類や手続きを一括してお願いできる点がメリットです。信頼できる相手を見つければ、生前から死後の処理までスムーズに進めやすくなります。
日本相続知財センター札幌の特徴
数ある専門家の中でも、日本相続知財センター札幌は相続に関する手続き全般をワンストップで受け付ける体制を整えています。独身の方が抱えがちな「自分には相続人がいないかもしれない」「誰にも知られていない預貯金があるが大丈夫だろうか」といった悩みを、丁寧なヒアリングを通して明確にし、最善策を提案してくれます。
特に札幌エリアで実績が豊富なので、地域の特徴や最新の法律改正にも精通しています。おひとりさまの場合、地元で信頼できる相談先を持つことが将来の安心につながります。法律の変更や税制改正はときどき起こるため、早めに専門家と関係を築いておくと、いざという時に慌てずに済むでしょう。
実際にあった事例と失敗を防ぐ対策
独身者が陥りがちなトラブル
事例としてよく聞くのは、遺言書を用意していなかった結果、突然遠い親族が現れて財産を請求し、トラブルになったケースです。また、誰とも連絡を取り合わないまま亡くなってしまい、数週間発見が遅れたケースもあります。親族がいなくても手続きは進む場合もありますが、余計な時間や費用がかかり、最終的に不本意な分配や処分が行われてしまうことも少なくありません。
トラブルを回避する具体的な対策
これらのトラブルを回避するには、やはり財産管理委任契約や、遺言書作成等が基本です。特に公正証書遺言は専門家を通して作成するため、内容の正確性が高く、無効になるリスクを減らせます。さらに、定期的な見直しを行い、自分の資産状況や人間関係の変化を反映させるのが重要です。
また、普段から財産管理委任契約を第三者と結ぶことにより、定期的に周囲とコミュニケーションを取る習慣を作ると、万が一のときに誰かが異変に気づきやすくなります。保険の更新や銀行口座の残高確認などもセットで行い、何がどこにあるのかを自分だけでなく信頼できる相手も把握しておくと安心です。
よくある質問(Q&A)
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実際におひとりさまが亡くなって発見された場合、自治体や警察が身元を確認し、遺体の引き取り手を探すのが一般的な流れです。しかし、事前に身元引受人を決めていないと、誰が葬儀を手配するのか、残された遺品はどうなるのか、混乱しがちです。生前に信頼できる人や専門家に依頼しておくと、手続きが進みやすくなります。
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親族関係が希薄になっていても、戸籍をさかのぼると意外な相続人が見つかるケースがあります。法的には優先順位に基づいて財産を受け取る権利があるため、当人の意志に反する財産分配が行われる可能性があります。こうしたトラブルを避けるには、公正証書遺言で「誰に何をどのように渡すか」を明示し、相続人が複数いても意志が尊重されるようにしておくと安心です。
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独身の方でも加入できる保険は多数あります。例えば死亡保険では受取人を任意で指定できるタイプが存在するので、友人や団体などを受取人にするケースも珍しくありません。医療保険は年齢や既往症によって制限はあるものの、近年は高齢者でも加入しやすいプランが増えています。必要に応じて見直しをすることで、いざという時の負担が和らぐでしょう。
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信頼できる友人や知人に生前・死後の事務手続きをお願いする方法もあります。ただし、依頼を受ける側にも大きな負担がかかるため、事前にしっかりと意向を確認し、必要であれば契約書を作成しておくほうが安心です。口頭だけで「よろしく」と伝える場合、トラブルが起こっても揉めやすく、相手に迷惑をかけることになりかねません。
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専門家への相談は、できるだけ早い段階がおすすめです。年齢や健康状態、家族関係などは常に変化します。若いうちから将来を考えておくと、「もっと早く知っておけばよかった」という後悔が減ります。迷ったときは、大きな決断をする前に一度相談窓口へ連絡してみるとよいでしょう。
この記事の監修者

一般社団法人 日本相続知財センター札幌
常務理事 成田 幹
2012年行政書士登録。2014年日本相続知財センター札幌 常務理事に就任。遺言・任意後見・家族信託などのカウンセリングと提案には実績と定評がある。また、法人経営者の相続・事業承継支援の経験も豊富で、家族関係に配慮した提案が好評。