デジタル遺産を徹底整理!相続対策の実践法を詳しく解説
近年、インターネットやスマートフォンの普及により、SNSアカウントやオンラインバンク、暗号資産などの「デジタル遺産」が重要な相続対象となっています。しかし、これらの資産は適切に管理されていないと、相続トラブルや財産の損失につながる可能性があります。
本記事では、デジタル遺産とは何か、その具体例や相続に必要な準備、専門家の役割について詳しく解説します。これを読めば、デジタル遺産を適切に整理し、家族への負担を軽減する方法がわかります。相続対策を始めたい方や、トラブルを未然に防ぎたい方はぜひ最後までお読みください。
デジタル遺産とは?基本の知識
デジタル遺産の定義とは?
デジタル遺産とは、インターネットやデジタル機器を介して管理される財産やデータの総称です。具体的には、SNSアカウント、暗号資産(仮想通貨)、オンラインバンキングの口座情報、クラウドストレージ内のデータ、ネットショップのポイントや電子マネーなどが該当します。これらは物理的に存在せず、データという形で存在しますが、相続の対象として扱われる重要な資産です。
また、デジタル遺産には財産的価値があるものと、そうでないものがあります。たとえば、SNSアカウントや写真データは直接的な財産価値は低い一方で、暗号資産やオンラインバンクの残高は大きな財産価値を持ちます。このような特性から、相続の準備段階でそれぞれの性質に応じた対応が求められます。
デジタル遺産の具体例(SNS、オンラインバンク、暗号資産など)
デジタル遺産には以下のような具体例があります。
1. 財産的価値があるもの
・暗号資産(仮想通貨):
ビットコインやイーサリアムなど。取引所やウォレットアプリに保管されており、パスワードを紛失すると引き出せません。
・オンラインバンキング:
銀行口座がデジタル化されており、残高が相続対象になります。
・ネットショップのポイント:
Amazonや楽天ポイントなど。金額換算すると多額になる場合もあり、適切な対応が必要です。
・電子マネー:
SuicaやPayPayなどの残高。
2. 財産的価値が低いまたはないもの
・SNSアカウント:
FacebookやInstagramのような個人の思い出が詰まったデータ。
・クラウドストレージ:
写真や動画、ドキュメントなど。金銭的価値はありませんが、思い出としての重要性があります。
・サブスクリプション契約:
NetflixやSpotifyなどの契約情報。自動更新を止めないと無駄な支払いが続く場合があります。
デジタル遺産の相続が問題になるケース
デジタル遺産に関連する問題は年々増えています。特に暗号資産においては、パスワードを知らない家族が資産にアクセスできず、何百万もの価値が消失するケースが報告されています。また、SNSアカウントが放置された結果、不正アクセスや故人を装った詐欺行為が行われるリスクも指摘されています。
さらに、ネットポイントや電子マネーが相続手続きの対象から漏れ、家族がその存在を知らないまま手続きを終えてしまう場合もあります。こうした問題を回避するために、事前の整理が不可欠です。
デジタル遺産を相続するための準備
デジタル遺産の管理方法(パスワードやアカウントリストの作成)
デジタル遺産の適切な相続準備は、財産をリスト化することから始まります。具体的には、以下の手順を踏むと効果的です。
- 財産のリスト化
すべてのデジタル資産をリスト化し、財産的価値があるものとないものを区別します。たとえば、暗号資産やネットポイントは財産的価値が高いので特に注意が必要です。一方、SNSアカウントや写真データは主に思い出としての価値に焦点を当てます。 - パスワードとIDの記録
ログイン情報を記録し、更新した際には必ず最新の情報に置き換えます。この記録は紙媒体で作成するか、信頼性の高いパスワード管理アプリを利用する方法が安全です。 - 保管と共有
情報を信頼できる家族や専門家に共有し、相続時の混乱を防ぎます。特に財産的価値の高いデジタル遺産は、遺言書に記載しておくことが望ましいです。
遺言書にデジタル遺産を明記するメリット
遺言書にデジタル遺産を記載することで、家族が資産を適切に管理できます。たとえば、「楽天ポイントを長男に譲渡」「暗号資産は全額売却し、次男に現金として分配」など、具体的な内容を記載するとトラブルを防げます。
暗号資産の場合、ウォレットのパスワードや秘密鍵を正確に記録しないとアクセスできなくなるため、別紙ですべて遺しておくか、信頼できる専門家に相談しておくことが不可欠です。
死後事務委任契約でできること
財産的価値がない、または低いデジタル遺産は、死後事務委任契約を利用して対応するのが一般的です。この契約により、専門家がSNSアカウントの削除、クラウドデータの整理、サブスクリプションの解約を代行します。たとえば、Facebookでは「追悼アカウント」に設定し、故人の記録を保存しつつ悪用を防ぐことが可能です。
死後事務委任契約について詳しく知りたい方は、「死後事務委任契約とは?内容・手続き・費用を徹底解説!」記事で解説していますのでご参照ください。
デジタル遺産を整理する際の注意点
整理中に個人情報が流出しないよう、十分に注意する必要があります。具体的には、次のようなポイントに留意しましょう。
- パスワードを共有する相手を慎重に選ぶ。
- 公共のネットワークで機密情報をやり取りしない。
- 整理の進捗状況を家族と共有しておく。
これにより、トラブルを未然に防ぎ、スムーズな相続を実現できます。
デジタル遺産の相続対策を始めるタイミング
トラブルを未然に防ぐためのタイミングとは?
デジタル遺産の整理は、可能な限り早い段階で始めることが重要です。特に、以下のような状況に該当する場合は、早急に対策を講じるべきです。
- 高齢者の場合
高齢者の中には、デジタル資産の管理が複雑になり、パスワードを忘れるケースが増えています。これが原因で、暗号資産やオンラインバンクの残高が放置され、相続時に問題が発生することがあります。 - 持病や健康不安がある場合
健康上の理由で判断能力が低下する可能性がある人は、早めの対策が必要です。特に、暗号資産の管理やSNSアカウントの整理は、健康なうちに進めるのが理想的です。 - デジタル資産を頻繁に増やしている場合
仮想通貨への投資や、複数のオンラインショップを利用している人は、資産が増えるたびに整理を怠らないことが重要です。
結論として、気づいたときが対策の始め時です。放置すればするほど、後で整理が困難になります。家族が困らないよう、早めに動き出しましょう。
判断能力があるうちに対策する重要性
判断能力があるうちに対策を講じることで、家族や遺族が無駄な負担を抱えずに済みます。特に、暗号資産やネットポイントは専用のパスワードが必要であり、本人しかアクセスできない仕組みになっています。そのため、以下のような準備をしておくことが重要です。
- パスワードの共有: 信頼できる家族や専門家に、暗号化した形でパスワードを伝えておきます。
- 財産のリスト化: どのデジタル資産がどのプラットフォームにあるのか、一覧で明示します。
- 遺言書の作成: 財産的価値があるものについては、遺言書に具体的な取り扱い方法を記載します。
- 死後事務委任契約書の作成:財産的価値が低い・ないものについては、死後事務委任契約で取り扱いや権限内容を決め記載しておきます。
判断能力がある段階でこれらを進めることで、家族が安心して手続きを行える環境を整えられます。
遺言書については、「遺言書の種類別に見るメリットとデメリット。最適な遺言書を選ぼう!」で詳しく解説していますのでご参照ください。
家族や信頼できる専門家との相談の進め方
デジタル遺産の整理において、家族や専門家の協力は欠かせません。まずは家族に、自分が保有しているデジタル資産の概要を説明しましょう。その際、家族との間に信頼関係を築くことが大切です。
次に、日本相続知財センター札幌や、税理士、弁護士などの専門家に相談するのがおすすめです。専門家は以下のような役割を果たします:
- 日本相続知財センター札幌: 遺言書の作成や、死後事務委任契約のサポートを行います。
- 税理士: 暗号資産やポイントの課税額を計算し、適切な申告をサポートします。
- 弁護士: デジタル遺産の法的処理等のアドバイスを提供します。
専門家との相談を進める際は、自分の資産内容をできるだけ正確に伝えることが重要です。信頼関係を築くことで、より良い解決策を提案してもらえます。
専門家の役割とサポートの活用
日本相続知財センター札幌の役割~地域密着型のサポート
地域に根ざした専門機関として、具体的な相続手続きのサポートを行います。デジタル遺産の相続対策や実際の手続きにおいても重要な役割を果たします。たとえば、以下のサポートが受けられます。
- 遺言書の作成サポートと遺言執行: すべてのデジタル資産を記載し、法的に有効な形で記録します。
- 死後事務委任契約の作成サポートと死後事務の実行: 死後事務委任契約の作成をサポートし、実行段階では実際にSNSアカウントの削除や、サブスクリプション契約の解約を代行します。
初回無料相談なので、安心して相談することができる相続の総合サポート期間です。
税理士の役割~デジタル資産の税務申告
税理士は暗号資産やポイントの課税額を計算し、申告手続きをサポートします。特に、仮想通貨は時価が変動しやすいため、正確な計算が求められます。また、ネットポイントなども金額が大きい場合、課税対象となる可能性があります。
弁護士の役割~法的トラブルの解決
デジタル遺産の相続は、新しい分野であるため法的な問題が発生しやすい分野です。 SNSアカウントやクラウドストレージ内のデータを巡り、家族間や運営会社との間で意見が対立することがあります。弁護士はこうした紛争を解決するために、法律に基づいた助言を行います。
よくある質問(Q&A)
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デジタル遺産が多岐にわたり、どこから手をつければ良いか分からない人が多いです。デジタル遺産をリスト化するには、まず「財産的価値があるもの」と「価値が低いもの」に分類することから始めます。その後、以下の手順を進めると効率的です。
・カテゴリ別に分ける
暗号資産、オンラインバンク、ポイント、SNSアカウントなどに分け、一覧表を作ります。・テンプレートを利用する
市販のエクセルテンプレートや、無料で提供されているデジタル遺産リスト作成用のフォーマットを活用します。・定期的に更新する
資産内容が変化するたびにリストを更新し、最新情報を維持します。・信頼できる場所に保管
リストは紙に印刷して金庫に保管するか、暗号化ソフトを利用してデジタル形式で保存するのがおすすめです。 -
暗号資産は他の財産と異なり、特別な管理が必要です。 暗号資産を相続する際は、以下の点に注意しましょう。
・秘密鍵とウォレット情報の管理
暗号資産にアクセスするには、秘密鍵やウォレットの情報が必要です。これらを遺言書に記載するか、専門家に預けると安心です。・相続税の計算
暗号資産は相続税の対象となります。相続時点の市場価値をもとに課税額が計算されるため、税理士に相談して正確な申告を行いましょう。・詐欺に注意
故人の暗号資産に関する情報が外部に漏れると、詐欺被害に遭う可能性があります。遺族にだけ情報を共有し、第三者への公開を避けることが重要です。 -
死後事務委任契約を依頼する相手は、信頼性が高く、経験豊富な専門家を選ぶことが大切です。具体的には本文にもある通り、日本相続知財センター札幌に依頼するのがお勧めです。死後事務委任契約の作成サポートから、死後事務の実行までトータルサポートを行います。死後事務の具体的な実務は、デジタル遺産専門のサポート業者と連携して行います。
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デジタル遺産の管理ツールは、正しく利用すれば非常に便利で安全です。以下の点に留意してください。
・信頼性のあるツールを選ぶ
多くのユーザーが使用しており、セキュリティ対策が万全なツールを選びます。・二段階認証を利用する
ツールのログイン時に二段階認証を設定することで、外部からの不正アクセスを防ぎます。・定期的にバックアップを取る
クラウドに保管する場合でも、ローカルデバイスに定期的にバックアップを保存しておくと安心です。 -
デジタル遺産の相続手続きにかかる費用は、資産内容や依頼する専門家によって異なりますが、以下が目安です。
・遺言書作成費用・遺言執行報酬
公正証書遺言の場合、日本相続知財センター札幌の報酬は税込約18万円~24万円程度。公証役場の手数料は、5万円~10万円程度。財産の総額が大きい場合は、さらに高額になる場合があります。遺言執行報酬は1%~3%です。・死後事務委任契約作成費用
日本相続知財センター札幌の作成報酬は税込約12万円程度です。死後事務委任報酬は税込み55万円です。・その他の費用
SNSアカウントの削除やサブスクリプション解約の代行費用が、1件あたり数万円~がかかります。費用を抑えるには、事前に専門家に見積もりを依頼し、必要な手続きを明確にしておくことが重要です。
この記事の監修者
一般社団法人 日本相続知財センター札幌
常務理事 成田 幹
2012年行政書士登録。2014年日本相続知財センター札幌 常務理事に就任。遺言・任意後見・家族信託などのカウンセリングと提案には実績と定評がある。また、法人経営者の相続・事業承継支援の経験も豊富で、家族関係に配慮した提案が好評。