住宅取得資金贈与で叶えるマイホーム!特例制度を徹底解説
住宅を購入するとき、親や祖父母からの「住宅取得資金贈与」制度を利用すると大幅な税金の負担を軽減できます。しかし、制度の内容や条件を理解していないと適用できない場合もあるため、正確な知識が必要です。本記事では、住宅取得資金贈与の基本情報、手続き方法、注意点を具体例を交えながらわかりやすく解説します。
目次
住宅取得資金贈与とは?
住宅取得資金贈与制度の概要
住宅取得資金贈与とは、親や祖父母から子や孫へ住宅購入のための資金を贈与する場合に、一定額まで贈与税が非課税になる制度のことです。この制度は、若い世代の住宅取得を支援するために設けられており、贈与を受けた資金を住宅の購入や建築に充てることが条件です。
例えば、2024年時点では、この制度に基づき最大1,000万円(省エネ住宅の場合)の贈与が非課税になります。一般住宅は最大500万円の贈与が非課税になります。この非課税枠は、住宅の種類や購入費用によって異なりますので、詳細は事前に確認しておきましょう。
どのような場合に適用されるのか?
この制度は、すべての贈与に適用されるわけではありません。以下の主な条件を満たす必要があります。
①対象となる贈与者と受贈者
- 贈与者:
親や祖父母(直系尊属)が対象です。 - 受贈者:
贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上であり、所得が2,000万円以下であることが条件です。
②住宅の条件
- 住宅の種類:
新築、もしくは一定の条件を満たした中古住宅。 - 住宅の広さ:
新築または取得した住宅用の家屋の登記簿上の床面積(マンションなどの区分所有建物の場合はその専有部分の床面積)が40平方メートル以上240平方メートル以下で、かつ、その家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が受贈者の居住の用に供されるものであること。)。 - 取得費用:
家の購入や建築に直接関連する費用のみが対象です。
制度を利用するメリットと注意点
①メリット
- 大幅な税効果:
高額な贈与が非課税となり、将来的な相続税の負担軽減にもつながります。 - 資金援助で住宅購入がスムーズに:
親や祖父母からの支援により、自己資金不足を補うことが可能です。
②注意点
- 利用条件を満たさないと課税対象に:
非課税枠の適用には厳密な条件があるため、事前確認が必要です。 - 贈与税申告が必須:
贈与を受けた年の翌年に税務署への申告を忘れると、贈与税が課される可能性があります。 - 将来の相続への影響:
贈与によって相続財産が減るため、他の相続人とのトラブルに発展するケースもあります。
住宅取得資金贈与の適用条件と手続きの流れ
適用条件:住宅の種類や購入費用の基準
住宅取得資金贈与を利用するためには、以下の主な条件を満たす必要があります。
① 住宅の種類
- 新築住宅: 個人が建設した場合や、不動産会社から購入した新築住宅が対象です。
- 中古住宅: 築20年以内(耐火建築物の場合は25年以内)で、耐震基準を満たしている物件に限られます。
②購入費用の基準
- 自己負担割合: 住宅の購入資金全額を贈与で賄う場合は適用外です。一部は自己資金や住宅ローンを使う必要があります。
- 対象外の費用: 家具や家電購入費、引っ越し費用などは対象外です。
③所得制限
受贈者の合計所得金額が2,000万円以下であることが条件です。
必要な手続きと申請書類
【手続きの流れ】
1. 贈与の受け取り
親や祖父母から資金を受け取る際に、振込記録を残しておきましょう。現金での受け渡しはトラブルの原因になる場合があります。
2. 住宅購入契約の締結
資金を使う前に、住宅の購入契約書を作成します。この契約書は、贈与税の申告時に必要です。
3. 税務署への申告
贈与を受けた翌年の2月1日~3月15日の間に、贈与税申告を行います。
【必要書類】
- 贈与契約書
- 住宅の購入契約書または建築工事請負契約書
- 登記事項証明書(住宅の所在地や広さを証明する書類)
- 住民票(贈与者と受贈者の関係を確認するため)
- 源泉徴収票などの所得証明書
税務署での申告方法と期限
贈与税申告は、管轄の税務署で行います。提出書類をそろえ、申告書を記入して提出してください。特に注意すべきポイントは、期限内に申告を済ませることです。これを怠ると、非課税枠が適用されず、贈与税が課税されてしまいます。
よくある手続きミスとその対処法
① 手続きミス
- 契約書の不備: 贈与契約書が適切に作成されていない場合、非課税枠が適用されないことがあります。
- 期限切れの申告: 贈与税申告を忘れるケースが多く見られます。
②対処法
- 専門家に依頼する: 税理士や司法書士に手続きの代行を依頼することで、手続きミスを防げます。
- 早めの準備: 書類の作成や手続きの計画を早めに進めておくことで、トラブルを回避できます。
住宅取得資金贈与と関連制度を活用するポイント
贈与税控除と住宅ローン減税の併用方法
住宅取得資金贈与を利用する際には、「贈与税控除」と「住宅ローン減税」の併用が可能です。この組み合わせを活用すれば、さらに節税効果を高めることができます。
贈与税控除と住宅ローン減税の違い
- 贈与税控除: 親や祖父母からの贈与が非課税となる制度です。住宅購入資金に限定されます。
- 住宅ローン減税: 住宅ローンの年末残高に応じて、所得税や住民税が減額される制度です。
併用するメリット
- 贈与税控除を活用して資金を調達し、住宅ローンを組むことで自己負担を抑えつつ、住宅ローン減税による長期的な節税が可能になります。
相続対策としての住宅取得資金贈与の活用
住宅取得資金贈与は、相続税の負担軽減にもつながる有効な方法です。親や祖父母が生前に財産を減らすことで、相続税の課税対象を減らせます。
注意点
住宅取得資金贈与を相続対策として活用する際には、他の相続人とのバランスを考慮することが大切です。兄弟姉妹がいる場合、不公平感からトラブルになる可能性があります。
専門家の役割:住宅取得資金贈与をスムーズに活用するために
税理士の役割
税理士は、住宅取得資金贈与を利用する際の強い味方です。複雑な手続きや税務処理をサポートしてくれるだけでなく、贈与税の適切な申告を確実に行うことで、非課税枠の適用を確実にします。
税理士ができること
- 申告書の作成: 贈与税申告書を正確に作成し、提出までを代行します。
- 贈与契約書の作成支援: 贈与の正当性を証明するための契約書作成をサポートします。
- 最適な税対策プランの提案: 他の特例との併用や相続対策を踏まえた税対策案を提供します。
日本相続知財センター札幌の役割
日本相続知財センター札幌は、相続や贈与に関する総合的なサポートを提供しています。特に住宅取得資金贈与においては、税務や手続きだけでなく、家族間のコミュニケーションの橋渡し役としても重要な役割を果たします。初回は無料で相談できるので安心して相談することが可能です。
具体的なサポート内容
- 手続きのトータルサポート: 必要書類の作成や申請手続きの全体をサポートします。
- トラブル防止のアドバイス: 家族間での贈与に関するトラブルを未然に防ぐための提案を行います。
- 相続対策の一環としての提案: 贈与を通じて将来的な相続の負担を軽減するための計画を立てます。
よくある質問(Q&A)
-
住宅取得資金贈与を受けた直後に贈与者が亡くなった場合、相続税との関係が気になる方も多いです。贈与者が亡くなった場合、その贈与が「相続開始前3年以内」に行われていれば、相続税の課税対象に含まれます。これは、相続税の課税を回避する目的での生前贈与を防ぐためのルールです。ただし、住宅取得資金贈与の非課税枠で贈与された分は、この規定の対象外となります。つまり、非課税分は相続税の計算に含まれません。
-
贈与された資金を住宅購入以外に使った場合や、その他の条件を満たさなかった場合のリスクがあります。非課税枠が適用されるためには、厳密な条件を満たす必要があります。条件違反があった場合、贈与された全額が贈与税の課税対象となります。また、贈与税の申告漏れが発覚すると、追徴課税や延滞税が課される可能性があります。資金を確実に住宅購入に充て、契約書や領収書などの証拠書類を必ず保管しましょう。
-
贈与税の申告期限を過ぎた場合は特例を適用できず、さらに、「期限後申告」という形で延滞税や無申告加算税が発生します。税理士などの専門家に依頼し早めに税務署へ必要書類を揃えて手続きしてください。
-
贈与税と相続税のどちらが有利かは、個々の状況によります。例えば、住宅購入のために早急に資金が必要な場合は、贈与税の非課税枠を活用するのが効果的です。一方で、相続税の課税割合が低い場合は、相続を待つ方が節税につながることもあります。税理士に相談し、状況に応じた最適な選択をしましょう。
-
2024年現在、住宅取得資金贈与の非課税特例には期限が設けられており、制度が延長されるかどうかは未定です。最新情報は、国税庁や税理士事務所の公式サイトで確認してください。また、制度改正があった場合は、適用条件や非課税枠が変更される可能性もあります。
この記事の監修者
税理士法人 中野会計事務所
税理士 湯山 啓太
大学卒業後、複数の会計事務所において法人税業務に加え、個人および法人の相続・贈与・事業承継などの資産税業務の担当として勤務したのち、2019年10月より税理士法人中野会計事務所に所属。千葉県税理士会 所属、登録番号118096。相続税申告を数多く手掛け、個人から法人まで税務についての幅広いサービスを提供している。