必読!任意後見契約のメリット・デメリットを徹底解説!

任意後見契約は、高齢者や判断能力が低下した人々の生活をサポートするために重要な制度です。本記事では、任意後見契約のメリット・デメリットについて、法定後見との比較などを交えて詳しく解説します。また、デメリットへの対策も紹介します。

任意後見契約とは

任意後見契約の基本概念

任意後見契約は、自分の意思で信頼できる人を後見人として指定し、将来の判断能力の低下に備える制度です。公証人役場で公正証書として作成され、判断能力が低下した時に発効します。これは認知症などで自分の財産管理が難しくなった場合に備えるための契約です。

任意後見契約の仕組みと流れ

任意後見契約は、契約者と任意後見人が契約を結び、公証人役場で公正証書として認証します。契約が発効するのは、家庭裁判所が任意後見監督人を選任した後です。この監督人が任意後見人の活動を監督し、適切に財産管理や生活支援を行うよう指導します。

法定後見との比較について

法定後見とは?

任意後見契約とよく比較されるのが、「法定後見制度」です。法定後見制度には「後見」「保佐」「補助」の3種類があり、判断能力が低下した本人の財産管理や身上監護をサポートする制度です。

法定後見との比較

任意後見契約は、本人の判断能力が残っている段階であらかじめ自分の意思で後見人を選べる点が大きな特徴です。一方、法定後見では本人の判断能力が低下した段階で初めて、家庭裁判所が後見人を選任します。事前対策には、任意後見契約が適していると言えます。

また、任意後見人の権限内容は、任意後見契約によって柔軟に定めることができます。これに対して法定後見の場合、後見人等の権限内容は民法および家庭裁判所の審判によって決まります。

任意後見契約の3類型について

即効型の任意後見契約

即効型は、契約締結と同時に後見人の権限が発効するタイプです。現在すでに判断能力が低下している場合に適しています。

移行型の任意後見契約

移行型は、現在は判断能力があるが、将来的に低下が予想される場合に備えるタイプです。現在は契約者自身が管理し、必要な時に後見人の権限が発効します。

将来型の任意後見契約

将来型は、将来の判断能力低下に備えるもので、契約時には後見人の権限は発効しません。判断能力が低下した際に家庭裁判所の決定を経て発効します。

任意後見契約のメリット

自分の意思で後見人を決められる

任意後見契約のメリットは、自分の意思で信頼できる後見人を選べる点です。また、契約内容を細かく設定できるため、自分の希望を反映したサポートが受けられます。さらに、法定後見に比べて柔軟性が高く、家庭裁判所の介入が少ない点も魅力です。

権限内容を個別に決められる

法定後見の場合、後見人等の権限内容は民法で決まっています。また、保佐人や補助人の権限内容は、一部個別に設定できますが、基本的には家庭裁判所の審判により決定します。

一方、任意後見人の権限内容は、任意後見契約を締結する際、本人の意思に従って自由に決められます。法定後見に比べると、本人の状態やニーズに応じて柔軟にサポート内容を決められる点が、任意後見の大きな特徴です。

任意後見契約のデメリット

任意後見監督人の報酬が発生する

任意後見契約では、任意後見人が契約内容に従って適切に職務を遂行しているかを監督する任意後見監督人の選任が必要です。家庭裁判所に選任を申し立てることで、主に弁護士、司法書士、社会福祉士などの第三者が選ばれます。

任意後見監督人には報酬が発生し、これが経済的な負担になる可能性があります。例えば、管理財産額が5000万円以下の場合、月額報酬は5000円から2万円程度です。

任意後見人の報酬が高額になることも

任意後見人の報酬額は、契約の内容に基づいて決まります。家庭裁判所が報酬額を決める法定後見とは異なり、任意後見契約では完全に契約次第となります。

そのため、特に弁護士などの専門家に依頼する場合、依頼先によっては任意後見人の報酬が高額になるケースもあります。契約を結ぶ際には、報酬に関する詳細をしっかり確認することが重要です。

任意後見人に取消権がない

成年後見人や保佐人、補助人には、本人が行った法律行為を取り消すことができる取消権が認められています。しかし、任意後見人にはこの取消権がありません。そのため、本人が独断で行った不適切な法律行為を取り消すことができず、本人の保護が不十分となる可能性があります。これにより、本人の財産や権利が守られないリスクが高まります。

死後事務は依頼できない

任意後見契約は本人が死亡すると終了します。そのため、任意後見人に死後事務(身辺整理など)を依頼することはできません。死後事務を依頼したい場合は、別途死後事務委任契約を締結する必要があります。これにより、死後の手続きが円滑に進むように準備をすることが重要です。

任意後見契約のデメリットへの対策

家族信託との併用

家族信託を併用することで、財産管理を信頼できる家族に任せることができます。特に不動産や金銭を信託することにより、契約者の財産が適切に管理されるようにします。家族信託を利用することで、財産の運用や管理がよりスムーズに行われ、契約者の利益が守られます。

報酬の事前の調整

家族などが任意後見人になる場合、後見人報酬を事前に無報酬に設定することも可能です。相互扶助の精神から子供が親の後見業務を無償で行うという背景です。そうすることにより、後見監督人の報酬のみとなり、経済的負担が減少します。

遺言により遺産を相続・遺贈させる

また、後見業務では無報酬であっても、遺言書などで遺産を後見人に相続・遺贈することにより、後見人に経済的な利益を与えることも可能です。生前の財産を適切に管理することにより財産が散逸することを防ぎ、遺産を確実に後見人に渡すことも可能となります。

よくある質問(Q&A)

  • 任意後見契約を締結する際には、信頼できる後見人を選ぶことが最も重要です。また、契約内容を具体的に定め、後見人の職務範囲を明確にすることが必要です。専門家のアドバイスを受けることで、適切な契約内容を作成することができます。

  • 任意後見契約のメリットは、自分の意思で信頼できる後見人を選び、将来の判断能力の低下に備えることができる点です。また、契約内容を細かく設定できるため、自分の希望を反映したサポートが受けられます。さらに、法定後見に比べて柔軟性が高く、家庭裁判所の介入が少ない点も魅力です。

  • 任意後見契約にはいくつかのデメリットがあります。まず、任意後見監督人の選任が必須で、報酬が発生するため経済的な負担が増える可能性があります。さらに、任意後見人の報酬は契約次第であり、依頼先によっては高額になることがあります。

    また、任意後見人には取消権が認められていないため、本人が行った不適切な法律行為を取り消すことができず、本人の保護が不十分になる場合があります。さらに、任意後見契約は本人が死亡すると終了し、死後事務を依頼することができません。

  • 任意後見は、自分の意思で後見人を選べる点が大きな特徴です。一方、法定後見は家庭裁判所が後見人を選任します。法定後見は判断能力が低下してから始まりますが、任意後見はその前に準備できます。自分の意向を反映したい場合は任意後見が適していますが、判断能力が低下してから手続きを開始する場合は法定後見が適しています。

  • 家族信託により不動産や金銭を信託することにより、契約者の財産が適切に管理されるようにします。また、家族などが任意後見人になる場合、後見人報酬を事前に無報酬に設定することも可能で、後見監督人の報酬のみとなり、経済的負担が減少します。さらに、後見業務では無報酬であっても、遺言書などで遺産を後見人に相続・遺贈することにより、後見人に経済的な利益を与えることも可能です。

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